安彦作品ガイド


ド田舎ストーリー

安彦良和 (著)

初出 ・角川書店 / 月刊「バラエティ」 '82年9月号〜11月号掲載 楽天へ楽天フリマ 
ジャンル
キーワード
・作家選集
・ショートコント
・マターリ&ほのぼの系
・クムクム風味
・郷愁
オススメ度 ★☆☆☆☆
出版データ詳細 詳細データベースへ角川書店/「あはは、まんが」


●この作品は、’77年10月〜’86年6月まで角川書店より出版されていた月刊雑誌「バラエティ」に掲載された作品で、’82年9月号〜11月号にかけて掲載されました。その後、’84年7月に当時の人気作家14名を一堂に集めたバラエティ本と称して単行本化されています。

この本の内容ですが・・・他の作家についてはパラパラと目を通しただけで特に印象に残るものはありませんでした。あえて印象に残ったとすると、山岸涼子の「読者からのゆうれい談」が面白かったくらいか。現在(2004/3)フジテレビで放映されている「ほんとにあった怖い話」の昭和30年〜40年代にあった紙芝居や少年探偵団(?)を意識した番組構成とか、出演者の稲垣吾郎とメンバーの小学生との絡みが妙に笑えるのと、オムニバス再現ドラマとかが割と怖かったりして結構ハマッていたりするので、単にこういう話に興味があるだけかもしれませんが・・・。

・・・あ、本題に戻りましょう。安彦短編「ド田舎ストーリー」、わずか18ページの作品ですが、ワンエピソードを1ページから2ページでまとめている構成で、ショートコント(?)含みの、ほのぼの系を目指しているようです。最初本を入手してパラパラと安彦氏の作品を探していた時には、「ん?・・・この作品がそうなのかな・・・??」と困惑、すぐに見分けがつかない状態でした。よく見れば安彦調で納得ではあるのですが、普段見慣れた劇画風の絵柄とのギャップが激しくとっつきにくいものがありました。「わんぱく大昔クムクム」を焼き直ししたのかな?とも思いましたが、そもそも「クムクム」を実際に見たことがないものですから(苦)、内容が似ているのかどうか判断がつきません。

また、誌面に矢印を入れてコマの流れが説明されているのですが、妙なコマの動きに読みにくさを感じました。特徴的なところは無声漫画(?)、ようは台詞を入れられておらず、キャラクターや絵の動きでエピソードを表現するのですが、画が細かすぎて上手く伝わってこないため、コマを見た瞬間ダイレクトに話の意図がつかめず、笑いどころを失する感がありました。

発表時期としては、まだデビュー作「アリオン」執筆中の駆け出しの頃の作品でもあり、個人評価としては低いものになってしまいましたが、ほのぼの、マターリした素朴な作品なのでゆっくりくつろぎながら読むのもいいかも知れません。

2004/2/29 shinji

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