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王道の狗
In the Shadow of Justice
安彦良和(著)

初出 講談社 ミスターマガジン連載
[白泉社版]
■第一巻 1998年No,01~No,13掲載
■第二巻 1998年No,14~No,24 1999年No,01~No,03掲載
■第三巻 1999年No,04~No,07 第31話描き下ろし 1999年No,08~No,12・14~16掲載
■第四巻 1999年No,17~No,23 第47話描き下ろし 1999年No,24・2000年No,01~No,03掲載
オススメ度 オススメ! ★★★★★
出版データ詳細 出版データへ講談社/ミスターマガジンKCDX版
出版データへ白泉社/ジェッツコミックス版
正しいと思っていたことが
本当に正しかったと
信じられる何かを!

01.加納の過去

序盤は前巻の続き、加納の過去編からスタート。秩父困民党の武装蜂起に加わった加納だったが、政府の鎮台兵と警察の展開によって脆くも崩れ去る。加納は命からがら落合寅一とともに東京へと逃げ延びたのだったが、自由党本拠で待っていたのは大井憲太郎の怒声であった。

その後、なりを潜めていた大井等だったが、「甲申事変」が朝鮮で起こり活気づく。
「甲申事変」・・・郵政局を開局する式典で開化派が謀反を企て、保守派の王妃閔妃の親族・高官らを謀殺し新政府を樹立した。日本はこの新政府を支援するも、清国の駐留軍に圧倒され、たった3日足らずで新政府は倒れてしまう。この開化派の中心人物が「金玉均」という人物。「金玉均」は竹添公使等とともに日本へ逃げ延びてくる。
大井は「金玉均」を国外追放せず友邦として護り、朝鮮独立を勝ち取れと煽る。(当時、清国と朝鮮は主従関係にあり、これを解消させ「独立」の名目で日本の支配下におくことが国策であった)

そして更に、大井はある計画を進めていた。「金玉均」を陣頭に立て自由党壮士一団が武器を持って朝鮮に渡り保守派要人を暗殺、それにより日本国内の民心を煽り、薩長派閥政府の無能無策を浮き彫りにし政府転覆をはかる大改革をすると。

・・・しかし、なぜ朝鮮の要人暗殺が日本政治を改革することにつながるのか、非常にわかりにくい話だった。加納自身も疑問を感じるが、名だたる論客たちまでが黙し反対する者がいなかったため、彼はついて行くしかなかったのである。

この計画で加納等に与えられた任務は、費用の強奪、爆弾の製造だった。奈良・大和郷などで強奪が行われ資金が集められるが、一方でその資金を幹部たちは遊ぶ金に注ぎ込み、ついには金をつかんで女と逃亡を図る顛末。加納はこの計画の先行きに不安を抱かずにいられなかった。しかし、今更東京に戻っても強盗の罪で捕まるだけ、残った者で計画を進めるしかなかった。加納は寅一とともに出立の地へと向かうが・・・。

クローズアップ加納が何故捕まることになったのか、誰に裏切られ、何を失ったのか、彼の記憶とともに綴られる。加納の過去話と、現実の時間経過が交互に流れるので、ちょっと断片的になってしまうが、序盤でほぼ語られるので大筋を理解するには問題ではないだろう。

ここでは、純朴な民心を煽り、利用する幹部連中のいい加減な態度、現場の痛みを顧みない無責任な姿勢に読み手も憤りを覚える。しかし、利用されたとはいえ、周囲の勢いに流され罪を犯し続ける、意志薄弱な加納達も同罪だと思う。自分の意思で途中で抜けることも出来たはずだから。

逃げ出した幹部連中が国事犯として捕らえられた後大赦され、一方で加納は別件のケチな強盗傷害犯として捕まり、死の恐怖におびえながら強制労働させられている。立場の大きな違いに加納は悔しさと憤りをにじませ、その気持ちには読み手も同情がわく。

しかし、一方で加納は「ケチな」とはいえ、資金集めの強盗や傷害という罪も実際に犯しているわけで、被害者側から見れば当然許されるはずもない。それは償わないとダメだろ?と思う。また、脱獄犯として「加納周助」としての人生を失ったのも加納自身の選択だったわけだし、冷たい言い方すれば「自己責任」でしょう? 確かに事の始まりは幹部連中の煽りにあったわけだけど、このことを恨むのは逆恨みのような気もします。まあ、彼の犯した罪が、「加納周助の人生の死」に値するようなまでの大罪であったかどうか・・・流石に「何もかも全て失う」のは気の毒だとは思いますが。なかなか難しいところですね。

02.出立

加納の過去話の合間に、風間と財部の入れ替わり劇が行われる(なんかシャアとキャスバルの入れ替りネタを思い出すね) 財部数馬とすり替わった風間は船で本土へと渡ってゆく。二人の年齢は結構離れているので、戸籍と照らし合わされたり、詳しく履歴を問いただされるとボロがでそうですけど(作中でも風間の台詞でフォローしてますが)、まあここはドラマチックに展開ということで。

一方、加納にも転機が訪れる。徳弘の元に永山北海道庁長官から手紙が届く。それには加納を連れ札幌に出向くよう記されていたのだった。何故、会ったこともない人物が加納と会いたがるのか?一体何の用件なのか?疑問は尽きないが、加納は決意していた。「もう逃げも隠れもしないぞ」と。

クローズアップ札幌へは徳弘とタキが同行することに。道中、脱獄囚の「酉蔵」と出会い彼を助けることになったり、タキがエロモードになったりとエピソードが語られる。2巻前半はタキがエロイ場面が多いのだけど、まあこのあたりは読者サービスなのでしょうか。「酉蔵」の使いどころは、今後においても微妙な役割なのですが、正直いてもいなくてもストーリーには大きく関与しない人物です。ここではやはり、大きく物語が転じるところ、永山長官の真意は?というところが焦点でしょうね。

札幌で永山長官に対面するクワン(加納)。ここで札幌に呼ばれた訳が判明する。それは、札幌にいる要人を警護する役割をやってみないかという話だった。この話に加納を推挙したのが師匠の惣角だったのだ。しかし、加納の腕前が使い物になるかどうか?それを確かめるために、札幌中から猛者を集め演武会を開くつもりだという。再び惣角の稽古を受け、演武会に臨む加納だが、対するライバル達も猛者揃い。果たして勝ち残ることが出来るのか?そして彼が護るべき要人とは!?。

クローズアップなんか演武会と言われると、ドラゴンボールを思い出しますけども(笑) 後半は、演武会のアクション中心に展開します。流派を問わない異種格闘技なので、剣道・三節棍・柔術何でもあり。ここで最大のライバルとなるのが「柳生心眼流」の小野寺重吾、超人的なパワーと技で圧倒的な強さを見せつけます。

安彦さんの体術アクションの見せ方も一コマに残像つけたり、線を入れたりと動きの見せ方が少しずつ変わってきた様子。このあたりの見せ方も楽しみつつ、エキサイティングな展開に興奮しつつ読みたいところ。そして話の核心、警護するVIPとは誰なのか?皮肉な運命が加納を待ち受ける。このあたりはグイグイと物語に引き込まれる展開で安彦グッ・ジョブ!

一方、アメリカから舞い戻った「陸奥宗光」は、条約改正に向け富国強兵、清との戦争を唱える。そして「金玉均」排除の政策もちらつかせるのだった。
「陸奥宗光」・・・1844~1897年没 紀伊藩出身、尊皇攘夷運動に加わり坂本龍馬の海援隊に参加。維新後は元老院に入るが、明治十年、西南戦争に便乗した士族の挙兵計画に関わったとして投獄される。その後、第一次伊藤博文内閣の外務大臣に就任、各国との条約改正に取り組み、領事裁判権の撤廃などに成功。また、日清戦争時の外交を一手に引き受け下関条約を締結させた。
その陸奥宗光に仕えるようになった風間は徐々にのし上がってゆくが・・・。激動する時代の流れが、加納と風間の運命も分かつ。二人が再び相まみえる時はくるのか?・・・第3巻につづく。
2007-09-24 shinji
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