安彦良和-WORLD Works-Short 麗島夢譚 |
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時は寛永十五年 戦乱の島原で運命は動き出す01.麗島夢譚とは ■安彦良和氏、久しぶりの新作「麗島夢譚」(うるわしじまゆめものがたり)。この作品は’80年代に執筆した「アリオン」の掲載誌「SFコミックス リュウ」が、2006年9月新たに生まれ変わり創刊されたことから、徳間書店から安彦氏にオファーがかかったものだ。
とりあえずこのようなところでしょうか。まだまだ大きなストーリーが始まったばかり、といったカンジですが、第二話も伊織とアンジェロのやり取りがほとんどで、人物の背景がぼんやり浮かんだ程度。終わりは再びオランダの軍船に砲撃される場面でつづく、ですから、物語として全然進んでいないのは残念。 ■さて、10ヶ月ぶりの再開です。2007年12月号にて第三話が掲載されました。執筆枚数は32枚。間が開きすぎてストーリーが朧気なのですが・・・前回はオランダ船に襲撃された場面で終了していたので、そのまま続くかと思いきや、場面を切り替えやや時間を飛ばして始まりました。安彦さんもそうですが、読者も前回からかなり時間が経過していますから一旦仕切り直しというところでしょうか?話的には11月号の予告編からそのまま続くカンジです。
舞台は台湾島へ。17世紀初頭、オランダが東洋進出の拠点とした「フォルモサ(麗しの島)」、その西海岸に築かれた「ゼーランジャ城」に連行された伊織は、肥後天草を治める寺澤堅高の家臣「渋川右京亮」に天草四郎の行方を問いただされる。 もっとも、襲撃の混乱の中、逃げ出した四郎とアンジェロの行方など伊織は知るはずもない。渋川は個人的な松浦家への恨みから、四郎逃亡の件を口実に伊織を責め殺すつもりだったのだ。 やはり安彦漫画に欠かせない監禁&拷問シーン。思わず「虹トロ」「王道の狗」のデジャヴを見たかのような錯覚に陥りました。今回の話の半分くらいは、フンドシ姿で痛めつけられる伊織の拷問シーンが占めているような・・・実は「アニメージュ」という雑誌で「COMICリュウ12月号」の予告が載っていたんです。「今一番描きたいのはこの作品だ!」とコメントが書かれていたんですけど、「ははあ、なるほどこういうことか!」と納得(いや違・・・)、フンドシ拷問シーンには安彦さんの妙な情熱を感じてしまいますね(笑) ■一方、「ゼーランジャ城」に訪れた一人の浪人。「新免武蔵守藤原の玄信」と名乗るその男は「ゼーランジャ城」で仕事を得たいと申し出るが、本物の武蔵かどうか、手合わせをして試されることに。一刀流の使い手「大田垣伝兵衛」と対峙するその男の正体は?そして執拗な拷問を受ける伊織の運命は? 武蔵と一刀流の「大田垣伝兵衛」との対決は、うーん・・・あんな結末でいいんでしょうか?なんか、オリジン・オデッサ編のエルランの最後を思い出しちゃいましたよ。どうも相手が役不足なんですよね~、燃えられん展開です。 それにしても、この作品は重厚なテーマでまじめに描くものと思っていたんですけど、ところどころコミカルな表現やセリフが入ってきて、方向性が変化してきたような気がします。安彦先生は軽いノリの冒険活劇モノにするつもりなのでしょうか?個人的には「王道の狗」のような心にズッシリくる作品を読みたいのですけどね。 ■さて、第4話は引き続きゼーランジャ城脱出シーン。アンジェロの介入によって脱出を図る伊織、しかし行く手を阻むのは二天一流の武蔵。武蔵の気迫の前にひるむ伊織とアンジェロだったが、武蔵の油断から辛くも城内脱出に成功する。 取り逃がした二人を追うため、ゼーランジャ城からは追っ手が放たれるが、そのころ伊織はある人物と出会っていた・・・。 アンジェロは一体何者なのか?その目的は?・・・伊織は忍びだろう?などとアンジェロに詰め寄るのだが、話の核心に触れないまま、のんびり話が進むので多少苛々がつのりますね。やっぱり2ヶ月に一回程度は継続して連載を続けてもらわないと物語にのめり込めないし、ストーリーも進展しないので盛り上がらない。4話使ってもこの物語のテーマとか、話の骨子が見えないのも辛いかな。まあ単純な冒険活劇なのかも知れないけど。コミックスが出てからまとめ読みした方が話に集中できるかも。 今回ラストで出てきた人物は何者なのでしょう?やっぱりシローですかね?武蔵がどうやって仲間に加わるのか?など先が気になりますが、次回掲載は未定。またノンビリ再開を待ちますか。 ■再び10ヶ月ぶりの再開です。第5話、逃げ延びた伊織の前に現れた人物は、やはりシローでありました。シローは伊織の話もろくに聞かないまま、アンジェロと共にローマへお供するよう指示、なおかつ洗礼を与えると一方的に通告する。勿論拒否する伊織だったが、彼らの元へオランダ兵の追っ手が迫りつつあった・・・。 今回はシローとの接触と、アンジェロの正体が明かされます。また、オランダ兵と共に伊織等を追う武蔵にも天啓のような出来事が・・・。僅か24ページの内容のため、ストーリーはほとんど動かず。しかも終盤はまたしてもピンチに陥る伊織達なのですが、今度は心変わりした武蔵が助けにはいるのだろうか? 次回は11月発売分に掲載されますが、そろそろ一区切りつけて単行本出ませんかね。ページ数がたまってないので難しいかも知れませんが、先月のエッセイ漫画を付録しておけば何とかなりそうな気もします。休載で断絶しながら読むより、一気読みした方が集中して物語に入り込めますしね。 ■またしても窮地を脱した一行は、再び地下へと逃げ延びる。追っ手に追われながらも、神への祈りをやめないシロー。その祈りの儀式へと入り込んだシローは忘我の境地へ。アンジェロはそんなシローの姿を見やりながら、自身が隠密であり、異教徒であることを伊織に告げる。一方、単独で彼らを追う武蔵は、オランダ人の襲撃にあった村の無残な有様を見て、島原の乱を思い出す・・・。 今月も24ページの掲載。アンジェロがシローを利用して何をしようとしているのか?核心はまだ先に向けて伏せられていて、ちょっとイライラさせられますね。そして武蔵はオランダ人のやり方を目の当たりにして、心変わりしつつあるようです。次回は飛び出した伊織と武蔵が対決するんでしょうか?それとも? 今回は3回連続掲載ですから、2月号でも読めそうです。次号を待て! ■さて、いよいよ第一部完結です。窮地に追い詰められた伊織は、無謀にも単身敵の真っ直中に飛び出します。大暴れしながらオランダ人の行いを非難し怒りをぶちまける伊織、その言葉に駆けつけた渋川や武蔵の気持ちも揺れ動く。果たして伊織やシロー達の運命は・・・? 3ヶ月連載も今月でおしまいで、24ページの掲載でした。伊織の熱血漢ぶりは気持ちがいいのですが、ちょっと考えが足りないというか、刹那的に動きすぎですね。これでは命がいくつあっても足りないでしょ。 また、今回の話で武蔵が伊織に加勢することになるのですが、ちょっと口上が長すぎてストーリーのテンポを崩している感じ。グダグダ話している間、オランダの頭目も含めみんなで話聞いてるし、半分ギャグ入っているような・・・。あと、意外だったのが渋川の態度で、彼が伊織に加勢するとは思わなかったな。まあ、同じ日本人として気持ちが通じたということでしょうか? 物語はここで再び休憩です。結局話があんまり進まないまま一部完となったカンジが漂うのですが、第二部再開はまた1年後ぐらいでしょうかね?さて、「麗島夢譚」第一巻は2009年1月20日発売予定です。連載時は間を置きつつ読んだので、1冊通して読むとまた違う印象になると思います。表紙イラストを楽しみにしつつ来年を待つとしましょうか。 2006-09-24初稿
2008-12-21改訂 shinji 【あらすじ】 ■寛永十五年、圧制とキリシタン弾圧に反抗した一揆勢を全滅させる幕府勢。一方で、オランダ船を襲う海賊船があった。海賊船を率いるは「伊織」と呼ばれる青年。彼の目的は一体・・・? 【余談】 ■月刊COMICリュウ創刊に先駆けて、全国書店に配布された宣伝用パンフ(A5サイズ)には、スペシャル対談として安彦良和氏と吾妻ひでおの対談が収録されている。これは、アニメージュ2006年9月号に掲載された記事に加筆されたものだが、その対談のなかで新作紹介スペースがあるのだが、そこでは「麗島夢譚」ではなく、「IRUMAN」(宣教師補)というタイトルで紹介されている。途中でタイトル変更したのでしょうかね?
■月刊COMICリュウ2008年11月では、「麗島夢譚事始」と題したエッセイが8ページ掲載されております。本編が掲載されていなかったので期待はずれだったのですが・・・。
このエッセイは安彦氏が10年前('97年3月15日と写真の日付)に九州取材に出かけた時のお話。自分が何を描きたいのか、まとまらない思考の整理のために出かけた先で、天草四郎の墓に向かい、激動の時代を描き出したいと感じられたようです。これからの物語はゼーランジャ城から台湾全島へ、更にマカオやルソンへと続くかも・・・とのこと。 |
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