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アボジ
[王道の狗外伝]

安彦良和(著)

初出 まんじゃぱVol.1掲載
オススメ度 普通 ★★★☆☆
出版データ詳細 出版データへプロの同人誌 まんじゃぱ 1999年新春号(Vol.1)

01.アボジについて

この作品は1999年1月に発行(実際に執筆されたのは1998年秋頃・巻末メッセージの欄では10月4日と記されている)された、プロの同人誌「まんじゃぱ」1号に掲載されたもの。

当時安彦氏は「マンガ・ジャパン」という漫画家団体の会員で(2000年頃(?)に退会されています)、そこで企画された同人誌第1号の編集長を担当されています。尚、このVol.1の表紙イラストも担当しており、同人誌参加漫画家のキャラクターを模写、組み合わせて「まんじゃぱ」という文字を表現する趣向となっています。

1998年というと、時期的には「王道の狗」執筆途中(2巻目が出る頃)で、短編として「王道の狗」の外伝的な話を32ページ描かれています。舞台は「金玉均」が幽閉された小笠原諸島。島の少年「斎藤コータロー」の目を通したありし日の小さな事件を、取材に来た記者(?)に思い出として語る構成。

この少年「コータロー」は、和田延次郎と同い年の友人。当時は流されてきた「金玉均」とも遊んでもらったことも。そんなある日、島にやってきた謎の汽船。子供達は「金玉均」を護るため、島の奥地に彼を匿う。延次郎をリーダーに、上陸してきた支那人達に立ち向かうが・・・。

クローズアップ筆で描かれた画と、ストーリーがマッチしていて情緒的な雰囲気。千尋岩の断崖からから眺める見開きの眺望がいいですね。短編なので、大きな展開はなく単純な流れですが、延次郎を含めた子供達と、金玉均とのしがらみのない心の交流を見ていると、なんだか心が温まる思いです。

「王道の狗」のサイド・ストーリーはこの作品のみ。すぐに終わっちゃうのが物足りない部分なのですが、貴重な作品ではあります。尚、この冊子の入手方法は、古本屋で探すか、オークション(たまに見かけます)で買うか、どちらかになると思います。できれば白泉社版で収録しておいて欲しかったンですが、安彦さんに忘れられていたのかな?

2007-10-08 shinji
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