安彦良和-WORLD WorkList-Comic 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
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きれいな瞳をしているのね・・・
01.「ララァ編」前について ■第17巻「ララァ編 前」について。収録内容は以下のとおり。地球での激戦を制した地空連邦軍は、その勢いのまま主戦場を宇宙へと移します。WB部隊も独立部隊として単独宇宙に上がり、サイド6へと向かうが、そこでは様々な出会いが待ち受けていた。 17巻前編 ■07年10月26日VOL,064(12月号)プロローグ・インタビュー ■07年11月26日VOL,065(01月号) ■07年12月26日VOL,066(02月号) ■08年01月26日VOL,067(03月号) ■08年02月26日VOL,068(04月号) ■08年03月26日VOL,069(05月号) ■対応するTV版からの主なチョイスは以下のとおり。ほぼ映画版をなぞる展開でエピソードの流れを若干変更した程度。独自エピソードはほとんどないので、既にストーリーを知ってる人にとってはちょっと退屈かも。 ■第31話「ザンジバル追撃」・・・カット ■第32話「強行突破作戦」 ■第33話「コンスコン強襲」 ■第34話「宿命の出会い」 ■恒例のWB部隊の航路図は以下のとおり。地球圏から離脱したWBはドレン艦隊との戦闘後、月に向かうと見せかけながらサイド6へ入港、その後出港を阻むコンスコンとの戦闘に入る。 02.物語について ■はやい、はやいよ、スレッガーさん 新章は、映画3部「めぐりあい宇宙」と同様のスタート。地球圏を離脱したWBと、それを追うザンジバル。シャアの命を受けたドレン艦隊がWB部隊を挟撃する。しかし、地球での激戦を潜り抜けてきたWB部隊の前では、既にドレン艦隊は敵ではなくなっていた・・・。 いよいよ宇宙へと上がるWB部隊、映画「めぐりあい宇宙編」ではスタートいきなりクオリティの高い新作画や、アムロの鬼気迫る戦闘力UPにハイテンションになった思い出の場面、映画でのドレンの壮絶な死に方とか良かったなあ・・・と記憶を思い起こしながら対比して読むと、当時の興奮が蘇ります。 オデッサ編ラストでは、今後のWB部隊の編成について指示される場面が入っておらず、「ララァ編」序盤にでもブライトが回想する形で挿入するのかな?と考えていましたが、結局スルーされてしまいましたね・・・残念です。安彦さん「めぐりあい宇宙編」のフィルムブックを参考に新章始めたので、この場面のこと忘れちゃったんですかね?・・・。 ジオンのWB部隊に対する評価が高く、第13独立部隊として敵の目を引きつける役目を指示され、ブライトが「囮専門ということですか」とちょっと怒り入った顔で答える場面が好きだったんですけどねえ。しかし、この場面が失われたことで、今後のWB部隊の役割がかなりボケでしまったように思えるのですが・・・。個人的な意見ですが、愛蔵版が出る時にはどうか加筆してほしい場面ですね。 さて、宇宙へ上がって以後のWB搭載機ですが、コア・ブースター2機にセイラとスレッガーが搭乗、あとはキャノンばかり数機(後編にタンクが1機出てきますが)という貧弱な戦力。ジャブロー以降、ジムにスレッガーを乗せたのは何だったんだ?と思えるほど。セイラは今後のエピソードのためにコア・ブースターに乗らざるを得なかったとして(まあ、ジムに乗っていても大きな問題ではなかったように思いますが)ちょっとガッカリな戦力ですね。安彦さんならジム・キャノンとか出してくれそうな気がしていたのですが・・・、ソロモン戦あたりで新たなジムが補給されることを祈ります。 あと、「リックドム展開」というオペレーターの声に、「ん?!」となるシャア、という場面が一コマ挿入されているのですが、これは何を意味しているのでしょうか?単純にリックドムというMSの存在を知らなかったという話なんでしょうかね?時たま、こういった読み手に意図が伝わらないセリフが入るときがあるんですけど(私だけかも知れないけど)、もう少し編集サンも台詞回しをチェックしたほうが良いかもしれないですね。 ■軍令がなければ・・・誰が寄るものか! 連邦軍主力がルナツーへ集結しつつあることに「不吉な予感」を感じつつも、ドズルはWB追撃に貴重な戦力であるコンスコン艦隊を差し向ける。一方、ドレン艦隊を撃破したWB部隊は、月(グラナダ)へ向かうと見せかけながら、中立コロニーであるサイド6へと寄港する。「敵は分散させて叩く」、陽動作戦で様々な工作活動を行うのがWB部隊の任務であることをここでブライトが告げる。 サイド6へと入港するWB、ここでミライの元婚約者である、入国審査官のカムラン・ブルームが登場、この二人にブライトやスレッガーが絡み、複雑な心理模様が描かれる。また、街へと買い出しに向かったアムロは、人混みの中で父テム・レイを見つけるが・・・。 「めぐりあい宇宙」とはよく言ったもので、新キャラのカムランや、テムの再登場がミライやアムロの気持ちを掻き乱します。特にここではブライトの任務に対する責任感と、カムランに対する嫉妬心が入り混ざった「何やねん、コイツ・・・」という表情がいいですね。 久々の婚約者との再会だが、ミライのカムランへの反応は冷たいもの。所詮親同士が決めたフィアンセ、自分が戦場の中で命の危険に晒された状態なのに、相手は安全な場所で他人に人捜しさせていた現実・・・これでは相手への信頼も失われますよね・・・、ミライがカムランに失望する気持ちや反発もわかります。 一方で、町中で行方不明になっていた父テムを見つけるアムロ。テムがバスに乗り込んでも、ひたすら後を追いかけます。追いかける場面、ライトが滲む描写とか良いですね。しかし、必死で後を追ったとはいえ相手はバス、追いつけるはずは無いのですが、すぐに次の停留所で降りてくれたのは運が良かったというか、ご都合主義と突っ込むべきか・・・(その程度の距離なら歩いて帰れよと、心の中で突っ込んでしまう私) しかし、久々の親子の再会でありながら、「おう、アムロか」「ガンダムの戦果どうよ?」と至って冷静なテム父さん。そして部屋に上げたかと思ったら、古い回路を渡されて、いきなり帰れ!と来ます。まあ、アニメ通りの展開ではあるのですが、マンガで見たときにはちょっと早すぎる展開にも感じますね。これは母親との再会シーンでも感じたことです。 ここは、行方不明になっていた父が生きていたが、厳格で科学者として有能だったあの父親が、今や使い物にならないジャンク機器を作っていて、ボロアパートでの生活にその身を落としている現実を突きつけられて、再会の喜びが一転して絶望へと変わる残酷なエピソード。それだけに、もう少し余裕を持った再会シーンをオリジナルで描いてもらって、アムロの複雑に変化する心理描写を見たかったわけです。まあ、テムが酸素欠乏症で頭が壊れてますから、まともな会話は成立しない問題はありますが。 ■美しいものが嫌いな人がいるのかしら? サイド6からの早期出航を促されるWB、艦ではミライやブライトの微妙な心理模様が描かれる。また、再び父の見舞いに訪れるアムロは、壊れてしまった父の背を見つめながら別れを告げる。WBへ帰路につくアムロは途中雨にあい、湖畔のコテージで雨宿りをするが、そこで不思議な魅力を持つ少女と出会うのだった。 艦内でのミライとブライトとの会話。ミライの裁縫シーンでは、映画版ではサンライズTシャツだったと思いますが、今回はまじめに軍服を繕っていましたね。そしてブライトには聞きにくかったカムランとの話を切り出す微妙な演技、座っているので顔だけ演技だったんですけど、もう少し体をつかった身振り手振りが欲しかったですかね。 元フィアンセとはいえ、戦争を他人事のように考えているカムランとは、自分と住む世界がずれてしまっていると告げるミライに、「人の縁は大事に・・・」と、ありていな言葉をかけるブライト。ブライトの気持ちを薄々感じているミライが、その言葉にツッコミを入れるが、不器用ですから・・・とブライト。お前は高倉健かと。 確かに不器用すぎるブライト。この時、ミライは言いようのない孤独感を感じていたのではないでしょうか。優しい言葉をかけてもらったり、誰かに抱き留めてもらいたかったのでしょう。ブライトがここで頑張っておけば・・・後にミライがスレッガーに心揺れてしまうことはなかったのかも知れませんね(あ、ネタバレごめん) ブライト、外見は老けていてもやっぱり若いのかな。 あとここでは、ミライの「あれではたまらない」と言った後のブライトのリアクションが、今ひとつ読めなかった(意味がわからん)ですね。あの横向いて「そうか・・・」という表情は何を意図していたんでしょう??安彦さんに聞いてみたいですね。 一方、父テムとの別れを告げるアムロ。しかし、些末な話ですけども、テムってもともと連邦の技術士官だったように思うので、戦災での障害であれば軍から恩給とか、軍の施設病院に入れそうにも思うのですが・・・アムロも准尉で登用されてますし、ブライト経由の口利きで今後の生活の面倒を手配してあげるぐらいは出来たようにも思います。結局、アフターフォローせずに「さよなら・・・」というのはちょっと薄情な気がしますね。16歳のアムロ的にはそこまで気が回らなかったのかな・・・皆さんは何も感じませんでしたか? WBへの帰路、父との思い出を回想する中、突然の雨に遭うアムロ。湖畔のコテージでの雨宿りで一人の少女に出会う。ここでは、父と別れたアムロの行き場のない喪失感、孤独感、虚無感が、降りしきる雨と弱った白鳥のイメージと重なり、少女の「かわいそう」というささやきに繋がるシーンでグッとくるところ(と、個人的に解釈している。少女が単に白鳥が可哀想と感じた訳では無いと思う) やがて雨が止んだ後の、幻想的な光の中を駆けてゆく少女、その少女の瞳や笑顔に吸い込まれそうな魅惑を感じるアムロは、思わず彼女の後を追ってしまいそうになる。今しがたまで感じていたアムロの喪失感が消え、新たな未来への予感を感じさせる幻想的な場面、安彦さんのカラーも雰囲気を盛り上げる要素で、なかなか力の入ったシーンです。 ■僕はあなたを・・・知っている ランク政権に圧力をかけ、WBの出港を待ちかまえるコンスコン少将は、少々痺れを切らし気味。WB艦内では作戦会議が開かれていたが、そこにカムランが、自ら水先案内人として誘導する提案にやってくる。カムランに反発するミライはそれを拒絶し、その場はまるで痴話げんかの現場さながらの状態に・・・。一方、アムロは出港までの僅かの合間に、再び昨日のコテージへと向かう。残念ながら少女と再会することは出来なかったが、WBへの帰路、アムロはもう一人の運命の人と出会うことに・・・。 クルーの面前で痴話喧嘩のようになってしまうミライとカムラン。見てはいけないものを見てしまったような微妙な雰囲気に包まれるクルーの表情が面白い。その様子に終止符を打ったのがスレッガー。ビンタでミライを一喝、カムランにも説教をかます始末。でもそんな、ちょっと乱暴だけど人の気持ちをくみ取れる情の深い人(?)という部分に、徐々にミライは惹かれてゆくのでしょうね(あ、ネタバレごめ・・) そしてアムロは、一度あったきりの少女に会いたいがため、父に会うと嘘をついてコテージへ向かいます。父親より女の方が気になるとは・・・それが若さか・・・?しかし、不安げに見送るフラウは微妙な雰囲気を感じ取ってますね。それともあのコマはアムロの後ろめたさを表現しているのかな? コテージで再会することが叶わなかったアムロは、急ぎWBへと戻る。途中轍にはまったアムロが助けを求めた車は、なんとシャアの乗る車だった。ここではシャアに出会った驚きと緊張、シャアに話しかけられ、間を外した返事をしてしまった気まずい顔など、アムロの表情が面白いです。 ■12機のリックドムが・・・全滅?! バケモノか・・・! ついにサイド6から出港する時が来た、サイド6領空内でにらみ合う両陣営、一触即発の緊迫がみなぎる宇宙空間でカムランとミライは艦橋越しに別れを告げる。そして一発の砲撃から激しい戦いが始まる。生き残るのはWB部隊かコンスコン艦隊か、見守るのは戦争から隔絶されたサイド6の市民、テム・レイ、シャア・・・。そして少女は予言する、「白いモビルスーツが勝つわ!」と。 いよいよ待ち受けるコンスコン艦隊との戦闘が始まる。WB艦橋シャッターが徐々に閉まるのを追うように見送るカムランが切ない。そしてシャッターが閉まった直後、WBの艦橋が随伴機を追い越してゆく、流れるような場面がいい。 しかしコンスコン、少将のくせにサイド6とWB、そして自艦の位置関係をまったく考えていなかったのだろうか?その状況で「ズルイ奴らだ」って、子供じゃないんですから・・・自分の命が懸かっている緊迫感に欠ける大将ですね(笑) もう少しやり手のオッサンだと思ってたけど、お前もか・・・ジオンの将校は無能すぎる また、その戦況を見守るサイド6の市民達。彼らにとってはTVの中の出来事にすぎないのですが、これは現実の世界でも、湾岸戦争が起こった当時、ニュース番組が戦況を流していましたが、見ている側にとってはまるでTVゲームを見ているかのようで現実感が無いんですよね。あの光の中で何人もの人が死んでいるというのに、「何も感じない」という怖さが描かれているようで、昔のアニメながら、こうした細かな描写を入れるところが他のアニメとはちょっと違う部分なんでしょうね。 さて、この後WB部隊はこの戦況を切り抜けることが出来るのでしょうか?そしてテム・レイのその後の描写はいかに? ■物語は後編へ、ララァ編と言いながらほとんど出なかったララァ。いよいよ本格的にララァが描かれるのでしょうか?エルメス計画の真相とは?そして新たに登場するオヤジ、この人は誰?後編お楽しみに! 2008-06-07 shinji
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