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虹色のトロツキー
安彦良和(著)

非道な犠牲を人に強いるような大儀など
正しくはありません!
そんなものは犠牲になった
者達の流す涙の万分の一の
値打ちもない独りよがりです!
虹色のトロツキー 8
虹色のトロツキー (8)
amazon.co.jp

01.三角山にて

冒頭、失踪した麗花が単独ノモンハンへとやってくるところからスタート。そのころウムボルトがいる興安支隊はノロ高知を制圧するため三角山にあった。しかし、支隊の戦力は千人足らず、孤立した今の状態ではジリ貧なのは目に見えていた。

一時の休息の合間、辻権作は戦場を眺めながらウムボルトに話す、石原少将の話は間違っていなかったと。これからの戦は歩兵が強くても勝てぬ、優秀な戦車や飛行機を持たぬ帝国陸軍は二流の下だと。辻少将はノモンハン戦線を直に見てそのことが正しかったと悟ったのだ。そしてウムボルトにはこの戦で死ぬなと、おまえ達にはもっと意味深い死に方があるはずだと告げるのだった。

事態の打開を図るため、戦線右翼を担っているウルジン将軍部隊と連携をとるべくウムボルトが連絡役に選ばれる。最左翼の三角山から直線距離25キロ、索敵もかねてノモンハン全戦線の敵中を潜らねばならない危険な任務だった。

02.反乱

ウルジン部隊に向かう道程で、ウムボルトは麗花と再会する。感動的な再会・・・と言いたいところだけど、ここのところはかなり不自然というか現実感がない。なんとなく無理矢理ねじ込んだようなエピソードといった感じがありますねえ。まあ、戦線はかなりの広範囲ですから戦場の隙間を縫うように通ることが可能だったかも知れませんけど、食事とかどうしたんでしょうね?

一方で、既に戦線は崩壊、味方の守備陣の合間を敵は悠々とすり抜けている現実にウムボルトは愕然となる。無事に戦線を抜けたいが、敵の攻撃に遭い麗花が負傷してしまう。その後、ウルジン部隊へたどり着いた二人。麗花は爆撃を受けた現地の娘ということにして手当を受け、ハイラルに後送されることに。これが二人の別れとなることも知らず。

戦線が崩壊する中、辻も花谷もソ連に勝って名を馳せることしか頭にない。ウルジンはこの状態を打開し同胞を救うため、自らの部隊を三角山へ向かわせることを決意する。しかしその独断は、軍への反乱と受け止められてしまう行為だった。

ウルジン部隊の南下は、すぐさま師団司令部の花谷・辻の耳に届く。このままでは右翼に穴が開いてしまうのだ。同胞を救うというウルジンの強い意志は、部隊の士気を鼓舞するが、それもつかの間、ウルジンを止めるため辻少佐が駆けつける。司令部へ連行しようとする辻政信と、ウルジンを守ろうとするウムボルト達。緊迫が走る!

このあたりの緊迫する展開は引き込まれる。ウルジンの行動も、彼を守ろうとするウムボルトも読み手の情に訴えかける熱いものがあるからだ。この結末は実際に書籍を手にとって読んで欲しい。

また、その後司令部に向かったウムボルトは、ジョンジュルジャップの策略にはまり、深見圭介を謀殺した首謀者と向かい合うことに。一体誰が犯人だったのか?最後の謎がここで明らかに。

7月下旬、日蒙の退勢挽回を意図した砲撃戦が始まる。が、全力を投入した砲撃戦も戦況を好転させるには至らなかった。日露戦争以来の旧式砲では射程距離が短く、敵陣まで届かなかったのだ。その後、ソ蒙軍の圧倒的総攻撃に各部隊は孤立、絶望的な苦戦に陥るのだった。前線を離脱できず連絡将校として配属を命じられるウムボルト。彼は生き残れるのだろうか?物語は第二次世界大戦の始まりまで綴られる。

後半はかなり状況説明的な文章が並び、台詞も細々として情報が多すぎるきらいがあるが、歴史物にありがちな部分なのでここは目をつぶっておきたい。物語の展開は、ノモンハンでの戦闘を中心に緊迫した状況がよく描けていると思う。そして、ウムボルトがどんどん絶望的な状況に追い込まれていくところもハラハラし通し。

ラスト付近もまだまだ続きそうな勢いだったウムボルトの物語は、途中あっけなく幕を閉じる。彼の理想がかなう日はいつか訪れることがあるのだろうか?2007年の今現在でもテロがはびこり戦争はなくなっていない。

後日談として、物語は最後に現代の東京へと移る。ウムボルトを調査していた某漫画家の取材という目線で語られる「ある女性」の話。ノモンハンを遠くに眺める女性の姿になんだかジーンとする余韻が残る。そして、彼女の息子が東京にやってくるという。父親の足跡を追う彼の姿、某漫画家の目には在りし日のウムボルトの姿がダブって見えた。命は引き継がれながら輝き続ける、いつか理想をかなえるために。

総評として・・・かなりの長編で回り道も多く、本筋が見えにくい物語の構造でしたが、エピソードひとつひとつは非常にエキサイティングな部分があって楽しめました。安彦さんの綿密な取材も功を奏していて当時の満州気分を味わうにも一興かと。私個人は非常にオススメな力作です。

最後に一言。満州で始まり、東京・秋葉原で終わる漫画が読めるのは安彦漫画だけ!
2007-09-17 shinji
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