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メディア展開期待は、映画化がダントツ1位。ストーリーの展開的には映画が理想的かも。

機動戦士ガンダムユニコーン
MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN
Prologue

福井晴敏 (著)・安彦良和(挿絵・キャラクターデザイン)

  1. ユニコーンガイド キーワード集 [1] [2]
  2. プロローグ
  3. 0096/sect.1 ユニコーンの日 [1] [2] [3] [4] [5]
  4. 0096/sect.2 赤い彗星 [1] [2] [3]
  5. 0096/sect.3 パラオ攻略戦 [1][2][3]
  6. 0096/sect.4 ラプラスの亡霊 [1][2][3]
  7. 0096/sect.5 重力の井戸の底で [1][2][3]
  8. 0096/sect.6 黒いユニコーン [1][2][3]
  9. 0096/sect.7 宇宙と惑星と [1][2][3]
  10. 0096/FinalSect 虹の彼方に [1][2][3][4]
機動戦士ガンダムUC[ユニコーン] ユニコーンの日(上) 機動戦士ガンダムUC[ユニコーン] 1 機動戦士ガンダムUC[ユニコーン] ユニコーンの日(下) 機動戦士ガンダムUC[ユニコーン] 2

宇宙世紀の始原に秘められた謎とは?

いよいよ「ガンダムエース2007年2月号」(角川書店刊)から連載開始された「機動戦士ガンダムUC」、今回は物語の導入部となるプロローグ。カラー32ページとノッケから力が入っており、安彦氏も表紙1ページを含む8点の挿絵で物語をビジュアル面で支えます。福井氏の文章もそんなに癖も無くスラスラと読みやすいと思いました。ただ、話の流れ上で括弧書きを多用されていたのが少し気になったかな。

01.挿絵について

挿絵は1月号で掲載されたキャラクター紹介のイラストを見ていたので、そのイメージの延長上で考えていましたが、実際には色数も少なく、表紙なんかは鉛筆書きの下絵(と思われる)に軽く水彩で色づけされていました。

石と笛」の時のような、もっとガッシリとした描写を期待していましたが、思ったよりもラフな印象でしたね。これは作業時間的な問題なのか、それとも小説の挿絵なのでタッチを少し変えているのか・・・。キャラクターのイメージスケッチ、例えば今回で言うとカーディアス・ビストのイラストの色使いなんかは気に入っているんですけどねえ。16ページのサイアムが見上げる1頁もののイラストは大きいんだけど、全体に黒がノペ~としたカンジで(宇宙空間だからしょうがないんですけど)構図も今ひとつ面白くない。

今、危惧している点は、次回以降は白黒イラストになっちゃうンだろうか?ということ。ガンプラやSEED系にカラーページ割くくらいなら、ユニコーンの誌面をカラーに持ってきてもらうほうがいいかな。ただ毎回カラーイラストだと安彦先生が辛くなるかなあ~。

02.物語について

舞台は、今まさに西暦(AD)から宇宙世紀(UC)に時代が移ろうとしている大晦日の夜、地球と宇宙との架け橋となるべく地球軌道上に設けられた空飛ぶ官邸「ラプラス」である。メインキャラクターははこの物語のキーマンと思われる男「サイアム・ビスト」だ。

物語は思っていたより重厚な雰囲気。ちょっと重たい幕開けですね。今回のメインキャラであるサイアムが下層階級の人物で、生活にあえぎ、生きるためにやむなく地下組織の活動に手を染めてしまうという設定が、貧富の二極化が進む我々の現実世界とリンクしているようで妙なリアル感がある。また官邸ラプラスへのテロも、現実の9・11同時多発テロを彷彿とさせるし、地球環境の汚染なども我々の生々しい現実問題につながっている。今回の物語は、より読み手にリアル感を持たせるために、現実の問題や事象と意図的にリンクさせているところもあるのかな?

一方、世界観をしっかりと確立するために、時代背景や人物・設備設定などわりと細かいところまで設定していてちょっと感心。読んでいるだけだと流してしまいそうだけど、タイプしていると(下段に簡単な設定一覧を作成)丁寧に世界観を作ろうとしていることがよく分かる。プロローグの内容だけでは当然不十分だろうけど、本編の中で充実してゆくだろう。まあ、いきなり序盤で情報を詰め込まれたとしても読者が疲れるだけだろうしね。

プロローグは後半、0001年から0096年へ一気に飛ぶ。時代の遷移スパンが一気に飛びすぎるが、メインに置かれるのがこの年代と思われる(主人公のバナージは0096年の人物だし)。この時代サイアムはスッカリお爺さん。元年当時17歳(だっけ?)なので0096年では113歳。普通は成仏しそうな年齢だが、冷凍睡眠装置で20歳ほど老化をかせいでるので未だに生き延びてはいる。

官邸「ラプラス」破壊後、手に入れた「ラプラスの箱」の力で地球連邦政府やアナハイムのような大企業とつながり、ビスト財団を築き上げたサイアムだが、余命が終わる前に「箱」を解放しようとする。

この「箱」を巡って、連邦政府、アナハイム、ビスト財団それぞれが争う展開になるのか?「箱」が開かれたとき訪れる世界の転機とは?・・・「箱」の謎と、今後の展開に期待感が高まります。最初に福井氏が言われたように、大人が読める充実した世界観を構築しつつ、魅力あるキャラクターが活躍する物語にして欲しいですね。次号は本編スタート「ユニコーンの日」メインキャラクター達が登場するとのこと。

03.登場人物ほか一覧

キーワード集はこちら
  • サイアム・ビスト・・・中近東の小国に生まれる。高原地帯で放牧業を営んでいたが、地球連邦の宇宙移民計画により、生まれの地が移民打ち上げ基地に指定され土地を追われる。その後、基地建設の作業現場に従事していたが、父親が分離主義者であったことが原因で職を失い、生活のために地下組織の活動に手を染めてゆく。官邸「ラプラス」の破壊活動の際に、偶然奇妙な物体を入手する。後のビスト財団宗主。この物語のキーマンと思われる。
  • カーディアス・ビスト・・・サイアムの孫。ビスト財団の二代目当主。60歳を過ぎているが衰えを感じさせない。連邦宇宙軍で戦闘機乗りの経験がある。サイアムから「ラプラスの箱」を第三者に渡す役目を託される。
  • ラプラス・・・地球と宇宙との架け橋となるべく地球軌道上に設けられた空飛ぶ官邸。上下に二枚の光ディスク型の円盤があり、中央のドーナッツ型(スタンフォード・トーラス型)居住ブロックに光とエネルギーを供給する。居住ブロックは75秒周期回転し、月と同程度の重力を発生させる。最初に「ラプラスの箱」が安置されていた場所?
  • ラプラスの語源・・・十八世紀フランスに生まれた物理学者の名前。ラプラスは過去に起こった全ての事象を細大もらさず、原子一個の動きに至るまで分析することで、未来は完全に予測できると考えた。今では未来を完全に予測する術がないことが証明されているが、その経緯を逆説として捉え首相官邸を「ラプラス」と称した。「未来にはあらゆる可能性がある」という意味。
  • ラプラスの箱・・・差し渡し3メートル強、厚み30cmほどの六角形。「箱」を開けると世界を根底から覆し「あるべき未来」を宇宙世紀にもたらすと言われるが、どのような謎が秘められているのかは現時点では不明。語源から考えると未来を予測する装置?
  • スペースコロニー・・・物理学者G・K・オニール博士が提唱。島3号と呼ばれる最新型は全長32km・直径6.4kmの規模。70~80基のコロニー群がひとつのサイドを形成する。1基のコロニーに一千万人程度収容できるとして一つのサイドに人口7~8億人を想定。計画はサイド6まで、完成に50年かかると言われている。全サイドに50億人を収容を想定し、総人口の半分が宇宙移民となる計算。
  • アナハイム・エレクトロニクス・・・元々は北米地区の家電メーカー。地球連邦軍の装備受注率とトップ、地球圏最大の軍需産業企業。度重なる戦争特需で成長する。旧ジオン公国の軍需産業を吸収。工場ごとの独立採算制を理由に反地球連邦組織とも通じる。月に資本の大部分を移していることから「月の専制君主たち」「死の商人」とも呼ばれる。ビスト財団が経営に参与している。
  • ビスト財団・・・サイアムが手に入れた「箱」の力を利用して連邦とアナハイム社と強いつながりを形成。ある事件をきっかけにアナハイムの役員に迎えられ、専務の娘と結婚することで表舞台に。アナハイムの戦争特需による急成長とともに財団も肥え太った。
  • アルベルト・・・カーディアス曰く、細かい金儲けが得意な男。アナハイムの重役。ビスト財団トップと「袖付き」との取引を阻止するためエコーズ隊に随行している。年齢不詳、ベビーフェイスなデブ。
  • メラニー・・・アナハイム社の関係者?詳細不明。
  • マーサ・ビスト・カーバイン・・・・カーディアスの6つ違いの実の妹。セミロングのブロンドに多少エラの張った頬、冷たい磁力を放つ深い目をした女性。アナハイム・エレクトロニクスの会長一族、カーバイン家に嫁いだ。夫をしのぐ辣腕で実務にも口を出し、パイプ役という以上の存在感で財団とアナハイムを繋ぎとめている。ビスト家が生んだ稀代の女傑にして鬼子。「箱」の引渡し妨害に関与し、財団の掌握と「ラプラスの箱」奪取を狙う野心家。
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