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機動戦士ガンダムユニコーン
MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN
0096/sect.1 ユニコーンの日 1

福井晴敏 (著)・安彦良和(挿絵・キャラクターデザイン)

  1. ユニコーンガイド キーワード集 [1] [2]
  2. プロローグ
  3. 0096/sect.1 ユニコーンの日 [1] [2] [3] [4] [5]
  4. 0096/sect.2 赤い彗星 [1] [2] [3]
  5. 0096/sect.3 パラオ攻略戦 [1][2][3]
  6. 0096/sect.4 ラプラスの亡霊 [1][2][3]
  7. 0096/sect.5 重力の井戸の底で [1][2][3]
  8. 0096/sect.6 黒いユニコーン [1][2][3]
  9. 0096/sect.7 宇宙と惑星と [1][2][3]
  10. 0096/FinalSect 虹の彼方に [1][2][3][4]

死にたくない、死ぬわけにはいかない。

今回はいよいよ物語のメインとなる年代0096年で本編がスタート。カラー8ページ(前回までのあらすじ1ページ分含む)+モノクロ32ページの内容だ。おまけとして、ユニブロ1ページ内にてインダストリアル7の3DCGのイラストと、新キャラのイメージイラストによる紹介がある。また、カトキハジメによるモビルスーツ解説ページが2頁付属しており、今月号も力が入っている内容だ。

2回目にして言うのは何なんですけども、「ユニブロ」という、タイトルネームは違和感があって・・・。そもそも「ブログ」ってWebLogの短縮した言い方だったと思うのだけど、なんでWebではなく誌面上で掲載している記事をブログと呼ぶのかと。

折角3DCGでコロニー描いてみたりしてるんだから、Webの公式ブログでも立ち上げて掲載すればいいのに。安彦氏のイラストも使い放題だろうし・・・読者からのコメントやトラックバックつけば、現状より世間の認知度は向上するだろう。誌面では簡単に1ページモノにまとめて、Web上ではより詳しい記事を載せていけば、相乗効果が出てくるように考えるのだが。運営するスタッフが足りないから無理なのかも知れないけどね。
(※2007年3月下旬から公式サイトが開設されるようです)

それと、カトキのメカ解説ページですが、変な画像加工が施されていて、とても見難いです。今回はクシャトリアの掲載ですが、ゲーマルクやクイン・マンサとの比較図とか、ジェガンやギラ・ズールの図も追加して欲しかったところ。

01.挿絵について

今回はプロローグの暗いイメージとうって変わって、見開き扉絵カラーで魅せてくれます。ああ、こういうイラスト待ってタンですよ。一見して下絵の線が見えてて塗りも雑っぽく感じる部分もありますが、今までのユニコーンのイラストを見る限り、基本的にこのようなスタイルで描くようですね。こういうイラストも味があって好きです。

カラーでは他に新モビルスーツの「クシャトリア」をパイロットのマリーダと共に描かれていて、安彦氏の描くMSが見れます。モノクロでは「ユニコーン」が1点描かれていましたけど、直立不動で飛ぶ姿はちょっと笑いを誘いますね。

ただ、今月号はカラー2点(見開きトップ画1枚含む)、白黒5点掲載(+1点は再掲)と、思った以上の点数が描かれていて嬉しかったのですが、ユニブロを見る限り、モノクロで掲載されていたイラストには実は色がついているではないですか・・・。安彦氏のイラストを心待ちにしている自分としては、やはりカラーイラストはカラーで見たいですね。他のカラーページをユニコーンに振替えて、毎回カラーで掲載して欲しいなあ・・・。それが無理なら単行本はカラーイラストでお願いしたい(こっちの方が無理かも)

02.物語について

物語はいよいよ本編0096年へ。序盤から「ガランシェール」を追う連邦軍(後にロンド・ベル隊であることがわかる)のMSジェガン3機と、それを迎え撃つマリーダ・クルスのMSクシャトリアとの戦闘シーン。ファンネルを操るマリーダの圧倒的な強さの前に3機のジェガンはアッサリと倒される。

このシーンは「ガンダム」特有の用語(ミノ粉とかサイコミュとか)も初めて出てくるため、やはり説明調な部分があり、テンポはやや悪いのだが、MSの動きは分かりやすく語られていて読みやすい。ただ戦闘は雑魚が相手だったからか、マリーダの強さを誇示するためか、ホントにアッサリ描写されていたように思う。

一方で、ガランシェールに密航する少女(いきなり姫様であることはバラして良いのでしょうか?)は後に重要人物となるであろう臭いを漂わせるが、最初から最後までちょこまかと動き回る程度で大きな動きはなし。

そして、主人公バナージは、日常から「ずれている」と感じて、なんだか冷めている目標の定まらない若者として登場。母親は既に亡くなっており、父親は素性がわからない(物語の中でカーディアスとのつながりが少し書かれているが)、というプチ不幸なところも、ちょっとベタベタでありがちな人物設定に思える。

文面からやたら「ずれている」という感覚が何度も繰り返し強調されていたが、ニュータイプであるとか、普通の人とは違うんですよ、ということを暗に示したかったのだろうか?それとも、将来の目標も定まらず、漠然とした不安を抱える若者特有の、現実逃避的な感覚を言いたかったのかな?

また、ユニコーンの封印「ラプラス・プログラム」の謎は未だハッキリせず。まあ、まだ始まったばかりで全部の謎を公開するわけにはいかないでしょ。でも、渡す相手が「袖付き」ガランシェール隊でいいのでしょうか? 開発委託したのは連邦軍って事だから、それをネオ・ジオンの勢力に渡すのは裏切り行為になると思うのだけど・・・。ここでは未だに、ビスト財団の真意は不明のまま。というか、財団としてはかなり危険な橋を渡っているような気がします。

今回は登場人物も多くて、全体に説明が多かった印象。あと、ネーミングが今ひとつピンとこないところがあって。例えば、「タクヤ・イレイ」の”イレイ”っつーのは語呂が悪いというか、最悪なのは「ガエル・チャン」って・・・もう今後は”蛙ちゃん”て脳内で自動変換しちゃうじゃないですか! そういうところを見ていると、意外に富野氏のネーミングセンスは良かったのか?とも思ってしまいますね(笑)

さて、とりとめのない感想で恐縮ですが、今月号を通して読むと、いろんなガンダム用語も含め、とても読みやすかったし、状況も分かりやすかった。ただ登場人物の設定が際立ったサプライズが無く、いろんな他の作品にみられる「ステレオタイプ」な人物設定というのが、少し残念だったかな。いままでにない斬新な物語を目指す!と最初に宣言されていたので、期待が大きすぎたのかも知れませんが。

まあ、まだまだ物語は始まったばかり、これから「あっ!」と言わせてくれるような展開が待ち受けていると信じて、楽しみに待ちたいと思います。今のところ、GAではオリジンの次に楽しみにしていますよ。この小説が始まってからGA立読み派が苦境に立たされているとか(笑)

次回はいよいよ主人公バナージと、密航少女オードリーとの初対面となりそうです。そろそろフルチンも出てくるのかな?>>「ユニコーンの日 2」へ

2007/02/04 shinji

03.登場人物ほか用語一覧

キーワード集はこちら
  • ガランシェール・・・航宙貨物船の船名。全長112M、三角錐の形状、最大貨物積載量500t超、先端にブリッジがある。大気圏内においても飛行可能。宇宙と地球の往復輸送便としても機能。0096年代には旧式にあたる。クルーは33人。ザンジバルに形は似ている。ガラシェールの船籍は民間の輸送会社「リバコーナ貨物」で登録されているが、実体は「袖付き」と呼ばれる組織の一部隊。
  • スベロア・ジンネマン・・・52歳。ガラシェールの船長。ひげ面
  • マリーダ・クルス・・・MSパイロット。18歳、女性。強化人間。ガランシェール配備のクシャトリアに搭乗
  • クシャトリア・・・NZ-666 KSHATRIYA ガランシェール配備、ネオ・ジオンが開発したサイコミュ搭載MS。バインダーとサイコフレームの使用によりNZ-000「クイン・マンサ」と同等の火力を維持しつつ小型化している。頭頂高22.3M、本体重量29.7t、バインダー4基:22.32t、全装備重量74.02t、武装:胸部メガ粒子砲4門、バインダー部メガ粒子砲2門×4、ビームサーベル2本、ファンネル6×4
  • 袖付き・・・MSの袖の装飾が0096年時代にネオ・ジオンMSに共通して見られる特徴であることからついたあだ名。連邦軍から神出鬼没のテロリストと忌み嫌われている。
  • ファンネル・・・サイコミュにより遠隔操作される攻撃端末。種類により形体は異なるが、クシャトリアの場合、全長2M程度の漏斗型。
  • サイコ・コミュニケータ・・・サイコミュと呼称される脳波伝導システム。このシステムがパイロットの脳波を拾い、増幅してファンネルに指示を送り込む。脳波はミノフスキー粒子を振動させる性質があるため、電波と違って攪乱される心配がない。ただし、パイロットの心身にかなりの負担を与えるため、誰でも操れるものではない。
  • AMBACシステム・・・アンバックシステム。MSの姿勢制御法。
  • パラオ・・・ネオ・ジオン本部の名称(?)
  • ジェガン・・・RGM-89 連邦軍主力MS。特務仕様機は末尾にSがつく。
  • ゲタ・・・MSの長距離進攻の際に用いるサブ・フライト・システムの俗称。ベッドのような扁平な機体の上下にMSを載せ作成宙域に搬送する。
  • インダストリアル7・・・かつてサイド5と呼ばれていた宙域に浮かぶ、アナハイム社が運営する密閉型工業コロニー。直径6.4KMの円筒形。0096年現在は総長18キロ(竣工時30KM) 中心を縦貫する人工太陽で昼夜の再現や、気温調節を行う。時刻はグリニッジ標準時間で統一。気候は地球の北半球に準拠。約二百万の人口のうち、半数以上がAEの社員とその家族で占められる。港と工場ブロックを構えた筒先を地球側に、月側に面した筒先にはコロニー建造ユニット(通称ロクロ)がキャップのようにかぶさる。
  • ロクロ・・・コロニー建造ユニット。長さ10キロ弱。湯飲み形状・鉛筆キャップのようにも見える。コロニーの外壁と内壁を同時に建造する役割。後方にスライドしながらコロニーを延伸、最終的には切り離される。先端には資材搬入口が設けられ、作業員の宿舎も存在する。
  • メガラニカ・・・通称カタツムリ。ロクロの先端に接合されている構造物コロニービルダー。全長6500M、直径1600Mに及ぶ回転居住区を露出。回転居住区の上下に工業プラントを張り出し、資材用小惑星の岩盤を吸着。本体後部には核パルス・エンジンを装備し、自航も可能。
  • タクヤ・イレイ・・・アナハイム・エレクトロニクス工業専門学校生徒。主人公バナージのルームメイト。
  • コリオリ症候群・・・宇宙移民開始初期のスペースノイドが患う環境病。
  • UC計画・・・地球連邦軍の委託を受けAEが極秘裏に進めてきた計画。カーディアスが司令。
  • ユニコーン・・・RX-0 UNICORN GUNDAM (ユニコーンガンダム)連邦宇宙軍再編計画の一つ「UC計画」で開発された純白のMS。「NT-D」のセンサーである頭の一本角が特徴。全身の駆動式内骨格(ムーバブル・フレーム)をサイコフレームで形成した実験機。特殊なOS「ラプラス・プログラム」が埋め込まれているとともに、「NT-D」と呼ばれるシステムが組み込まれている。「NT-D」が発動すると内部フレームが拡張し、全身の体型が変貌、装甲の継ぎ目が分離・スライド開放される。その際、装甲の隙間から露出した内部フレームが赤い燐光を発する。この「NT-D」発動時には機動性が飛躍的に高まる。パイロットは予めコックピット内で全身の静脈を3Dスキャン・登録することで識別される。 全高:19.7(NT-D時21.7)M / 重量:23.7t / 装甲材質:ガンダリウム合金 / センサー有効半径:22,000m / ジェネレーター出力:3,480kw / スラスター総推力:142,600kg
  • ガエル・チャン・・・カーディアスの秘書兼ボディーガード。UC計画の機密管理も担う。一時は地下組織に身をおいていたこともあり、軍や警察の内情に詳しい。
  • ロンド・ベル・・・連邦宇宙軍の独立機動艦隊。特定の管轄区域を持たず有事即応の部隊として知られる。命令系統も通常の部隊とは異にしているという意味では軍の外郭団体的な傾向を持つ。司令はブライト・ノア。
  • ギラ・ズール・・・AMS-129 GEARA-ZULU 新生ネオ・ジオン量産型機。

    「AMS-119ギラ・ドーガ」に代わるネオ・ジオン軍の次期主力MSとして、アナハイム・エレクトロニクス社で開発が進められた。オーソドックスなジオン・スタイルでまとめ上げられているのは、総帥を失い求心力が低下した組織の士気を高めるためのシンボリック的な意味もあったようだ。

    全高:20.0m/本体重量:21.8t/全備重量:55.2t/装甲材質:チタン合金セラミック複合材/センサー有効半径:18,200m/ジェネレーター出力:2,470t/スラスター総推進力:62,100kg 濃緑色のボディー。全体のシルエットは公国軍のザク・タイプを引き継ぐ。ガスマスクを思わせる口元が特徴的。

    手首付近に袖飾りのようなマーキングが施され、色とデザインから所属部隊が分かる。隊長機を示す頭部のブレードアンテナをはじめ、ショルダーアーマーも所属や階級に応じて換装する自由度が設けられており、量産機らしからぬ個性が演出できる機体。

    中でも親衛隊機は、両肩にスパイク・アーマー、背部に二基のブースト・ポッドを装備し、推進剤タンク兼スタビライザーは尻尾さながら後方に突き出す様は、悪魔のような印象を醸し出している。

    特に隊長のアンジェロ機には、全身を紫を基調とする独特のカラーリングが施されている。
  • サボア・・・MSギラ・ズールのパイロット。
  • ギルボア・サント・・・MSギラ・ズールのパイロット。黒人、30歳、三児の父。
  • フラスト・スコール・・・ガランシェール操舵士。27歳。面倒見の良い兄貴分。隊ナンバー2
  • ブッホ社・・・ジャンク屋。コロニーにチェーン展開している。プチ・モビルスーツでデブリ回収する業務が主。バナージとタクヤがアルバイトしている会社。
  • ギラ・ドーガ・・・AMS-119 AE製MS シャアの反乱で使用された。
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