|
||||||||||||||||||||||||||||||
安彦良和-WORLD WorkList-Illustration 機動戦士ガンダムユニコーン[0096/sect.8 虹の彼方に 3] |
||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||
|
灯して、繋げろ。可能性の’光’を■今月は最終章「虹の彼方に 3」 56ページの掲載(挿絵含む)。物語もいよいよ大詰め、インダストリアル7のメガラニカに乗り込むバナージとミネバ。ユニコーンがビスト邸の前にたどり着いたとき異変が起こる。メガラニカのブロックが動き出し、「箱」の封印が解かれようとしているのだった。屋敷の中へと足を踏み入れた二人を待ち受けていたのは、氷室に眠るサイアム・ビスト。そして二人の前に開かれる「ラプラスの箱」。「箱」の正体を知った二人の選択とは? そしてなお「箱」を追うフロンタルの行方は?
■ユニブロNo,25は、航宙戦艦メガラニカについて。そして、サイアムの眠る氷室について解説。 ■カトキハジメによるメカ解説17回目は、フルアーマー・ユニコーンガンダム、バンシィ、AMX-006 GAZA-D [ガザD]、AMX-008 GA-ZOWMN [ガ・ゾウム]、AMX-102 ZSSA [ズサ]、ジェスタ&ジェスタキャノンについて解説。 ■2009年冬、機動戦士ガンダムUCユニコーンのアニメ化については6ページの記事。アニメーション・キャラクターデザイン担当の高橋久美子氏のインタビュー&白黒のキャラ設定画。及び、アニメーション・メカニカルデザイン玄馬宣彦氏インタビュー。詳細についてはアニメガイドのページで。 ■あと、第48回静岡ホビーショー2009レポートで、1/144HGUCユニコーンガンダム(デストロイモード)、1/144HGUCクシャトリア、1/144HGUCジェガンの試作品が載っていました。 01.物語について ■王の帰還 先ほどまで続いた戦闘が嘘のような静けさの漂うインダストリアル7。バナージ達はエコーズと合流し、メガラニカに進入する。続いて傷ついたネェル・アーガマも修復のためにゲートへ入ろうとするオットーだったが、まだレウルーラが残っているとジンネマンが忠告する。 一ヶ月前、ユニコーンとクシャトリアが戦ったドッグへと入るバナージ。煤けたドッグや倒壊したクレーンは戦闘の痕跡を残したままだ。バナージはふと、父カーディアスを思い浮かべるが、今は「箱」にたどり着くことが先決だった。工場ブロックを抜け、重力区へと降りてゆく一行、進む先にあるのはビスト邸。屋敷の前に立つユニコーンに再び「La+プログラム」が起動する。バナージとミネバを誘う声・・・この奥にサイアムの眠る氷室があるのか? 始まりの地へと舞い戻ったバナージ。戦闘の傷跡が残る施設を見て、一ヶ月前の記憶が蘇る。かなり長い期間旅をしていたように感じるのですが、たった一ヶ月の出来事だったんですね。バナージにとっては沢山の事が一度に起こりすぎて、あっという間の期間だったでしょうが。 さて、いよいよサイアムの眠る氷室へと近づくバナージ達、ガエルの話では氷室には細工があって、簡単には見つけられない仕組みになっていると言うが・・・はてさて、どんな仕組みだというのでしょう?結局屋敷の地下なのでそんな大した話ではないと思うのですが。最初の頃は、氷室は月にあるものとばかり思ってましたが、予想が外れてしまいました。 一方、ネェル・アーガマにいるジンネマン。マリーダの死から速攻立ち直り、オットー達を支援するのですが、流石百戦錬磨の戦士ということなのでしょうかね?心が折れるとなかなか立ち直れないものなのですが、ちょっと立ち直り早すぎるような気もします。 ■待っていた、たったひとつのことを伝えるために バナージ達が氷室へと近づきつつある頃、地上ではブライトがシャイアン基地へ乗り込み、ローナン、マーサとぶつかり合っていた。コロニーレーザー発射を止めようとるブライト、体制を維持するためには犠牲を問わないとするマーサ、「箱」を認めることを拒むローナン・・・それぞれの思いは隔たりが大きすぎ、溝を埋めることは適わない。押し問答が繰り広げられる中、メガラニカに異変が生じる。 メガラニカの重力ブロックが異様な動きを始める・・・、「箱」の封印が解かれようとしているのだった。回転居住区は二重構造になっており、普段は互いに逆回転しているが、氷室が開くときだけ停止する。 ユニコーンを降りたバナージとミネバは屋敷の中へと進み、六連タペストリーの部屋へと向かう。そしてそこには「A MONSEUL DESIR」と書かれた円錐状の構造物がそそり立っていた。ここが氷室の入り口・・・、二人が入り口に足を踏み入れる。 ブライトがシャイアン基地へ乗り込んだ切っ掛けは、カイ・シデンからの電話からでした。つまりローナンとカイが会わなければ、ブライトはここまでたどり着かなかったということで、一応カイの出てきた伏線はここで回収したということですね? でもまあ、相手がローナンやマーサだと、今のブライトが乗り込んできても、事態が好転するようには思えませんが・・・。こちらは何しにきたんだろう?という気持ちがいっぱいです。 一方、メガラニカの氷室の秘密については、「ユニブロ」の方でも図解入りで解説されており、非常に分かりやすいです。もっともあんまりインパクトのある秘密でもなかったですけど・・・。氷室への入り口が、序盤に出てきたタペストリー「A MONSEUL DESIR」とリンクしているところは、なかなか面白い趣向でした。さて、いよいよ眠れる森のお爺さん、サイアムとのご対面です。 ■もう、そういうことじゃないんだ・・・ バナージ達がサイアムと対面した頃、コロニーの外でデブリと共に漂うバンシィの姿があった。傍らにはアルベルトが乗るベースジャバーも。心が折れてしまったリディに声をかけるアルベルト。マリーダを失いながらも、冷静にメガラニカの動きをウオッチしている様子。封印が解けたことを悟ったアルベルトは、リディに「箱」の正体を語るように促す。状況を理解したリディもそれに応じようとするが、その時、メガラニカに閃光が走る。 ロクロの接続部分から発光信号が明滅する。それに応じたレウルーラがコロニーに攻撃を加えたのだ。コロニーに攻撃するタブーを破ったのは、その信号がフロンタルからの指示だったからだ。フロンタルはまだ生きているか? 気力を失ったリディはへこみまくり。ミヒロからの呼びかけにも答えずに、デブリと共に無気力に漂うばかり。しかし、意外にもアルベルトはしっかりしており、メガラニカの細かい動きも観察しているのだった。逆境に強いのがビスト家の血筋なのかも知れませんね。このまま素直にバナージに力を貸すような心の真っ直ぐな男ではないが、マリーダの死がアルベルトの生き方を大きく変える切っ掛けにはなったようです。 一方、レウルーラの攻撃を受けるインダストリアル7。この攻撃は何なのか?鋭く読みを働かせるジンネマン。掟破りのコロニー攻撃の理由は・・・味方をコロニーに侵入させるか、離脱させるか、そのどちらか・・・。そしてトライスターから、赤い機体がコロニーに接触した情報が入る。そりゃあ、まだフロンタルの正体とか片付いてないですもんねえ、簡単に死なれても盛り上がりませんし、フロンタルにはもう一踏ん張りして欲しいところです。 ■代償に、お前は選ばなければならない フロンタル侵入の報を受け、メガラニカ内部ではエコーズが警戒に当たっていた。コンロイと分かれたガエルは「ロト729」に乗り、リフト区画を索敵する。車長の男と軽口混じりに話しながらの警戒だったが、ガエルの背中に一瞬冷気が舞い降りる・・・! その頃氷室では、バナージとサイアムが語り合っていた。「箱」のために多くの犠牲がでてしまったこと、「箱」は本当にその犠牲に見合うものなのか? その重みは全てを見ていたサイアムにとって先刻承知。それを受け止めた上で「全てを伝える」というサイアム。しかし、その代償にバナージは選択を迫られる事になるが・・・。 サイアムの手がコントロールパネルにかざされたその時、床下からゆるりと姿を現す「ラプラスの箱」・・・それは見覚えのある、正六角形の硬質な塊・・・・「箱」とは、宇宙世紀憲章の石碑だったのだ。オリジナルの石碑が一体何だというのか?バナージ達の戸惑いも束の間、ミネバが条文の違いに気がつくのだった。 なんと、ラストにきてガエルちゃんが、ダグザみたいに蒸発死してしまいました・・・。忠義ものの気持ちの良いナイスガイだったのにねえ。殺し方も一瞬間を置き、恐怖感に襲われた状態で、なんとも呆気ない死だったように思います。こんなところで簡単に殺さないで、これからバナージの片腕という役どころにしておけば良かったのになあ、と思うのだが・・・残念です。 さて、サイアムが封印を解いた「箱」の正体も判明しました。結局、大方の予想通り、オリジナルのラプラス憲章というオチ。条文については、第九条の改竄だと思っていたのですが、そこは流石の福井さんも、やや斜め上にひねりを入れたみたいです。ネタバレになってしまうのですが・・・オリジナルの違いは、章立てが多いこと。
■すべて人が造り、人が為したこと・・・ バナージが「箱」の正体を知った頃、アルベルトもリディからその真実を聞いていた。その話を知ったところで、自分も世界も何も変わらない・・・。あまりの真実に唖然とするアルベルトに、リディは経緯を順に順に語ってゆく。 理想家リカルド・マーセナスが、自らの夢を実現するため密室であるラプラス官邸を利用したこと。しかし、棄民政策を推す側にとってリカルドは目障りな存在。この石碑が引き金となって、雇われテロリストを使った暗殺計画が実行された。そのテロリストの一人が、サイアム・ビスト。そして、計画を首謀者がジョルジュ。マーセナス、リカルドの息子だったのだ。この呪いの歯車は宇宙世紀開闢の時点で始まっていたのだった。 暗殺計画は成功したが、誤算はサイアムが生き残ったことだった。彼が偶然手に入れた「箱」を利用して、連邦政府を揺さぶり始める。まだ最初の頃なら、政権を脅かすスキャンダルに過ぎなかった・・・、しかしある男の登場によって「箱」の存在意義が大きく変わった。ジオン・ダイクン、彼が生んだジオニズム主義が、遙かな未来に向けた「祈り」だった条文に、現実的な力を持たせてしまったのだ。 氷室では、一年戦争の記録映像が流れたいた。ルウム戦役、コロニー落とし・・・、サイアムがかつて石碑を見つけた日に見た幻が現実となった。「箱」を開放していれば、また違った未来があったのかも知れない。目的を失い、ただ肥大するだけの財団、サイアムもまた、変化を恐れ拒んだものの一人だったのだ。 失われた「可能性」に打ちひしがれる男達。この世界と秩序を守ること、未来を閉ざしたその選択が果たして過ちだったのか、「あるべき未来」が本当に理想的な未来をもたらしていたのだろうか?そんなことは誰にも分からないことだった。 サイアムの吐露に耳を傾けるバナージ達、そしてマーセナス家の呪いについて語るリディ、それを聞くアルベルト。それぞれが時を越えた想いの、痛みと重みを逃げることなく真正面から受け止めようとしていた。 世界を敵に回してでも「箱」を開放しようとした父が信じたものとは・・・?カーディアスの信念に想いを馳せ、全てを知った今になって父へのわだかまりが消失するアルベルトが涙する場面は、グッとくるものがありますね。アルベルトは父殺しの犯罪者であることは変わりないのですが、その罪の償いをこれから行動で示してくれると思ってます。 ■この虹の彼方に道は続いている
氷室では、サイアムが語り続けていた。ジオン共和国解体を前に、「箱」の真実を世に問わなければならない。「箱」が無に帰す前に、「あるべき未来」を取り戻す。それがサイアムの「たったひとつの望み」だった。そして彼が何よりも怖れることは、「箱」が開放されても「なにも変わらない」という未来だ。 サイアムが偶然手に入れた石碑、それは遠い未来に向けられた人の善意、”光”だ。今「箱」を開放しても、それはただの言葉にすぎず、呑み込まれて消えるだけかも知れない。しかし、万人に一人でもこの”光”に気づき、世界が絶望だけで満たされたものではないことを知ったなら、その想いは子から子へと引き継がれ、いつか暗闇に微かな灯りを灯してくれると、サイアムやカーディアスは信じた。そして、その「可能性」を今度はバナージが引き継ぐのだ。 今まで出会った人々の、数々の「言葉」がバナージの脳裏を過ぎる。彼等の想いを胸に、世代を重ね少しでも前進する、自身もまた連鎖のひとつであることを受け入れたバナージは、サイアムに応える。バナージの目を見て理解したサイアムもまた、笑顔で応えるのだった。 ここでようやく、ユニコーンのテーマ「可能性」について語られる。閉塞し失われた未来、暗闇に投げ込まれる一石の可能性の光を、世代を重ねて受け継いでゆく。そういう話でした。そして、サイアムやカーディアスの想いをしっかりと受け止めるバナージの心の成長が清々しいですね。 この後、メガラニカはインダストリアル7から離脱し、巨大な航宙戦艦「メガラニカ」として、本来の姿を現します。地球圏のあらゆる通信、放送システムに介入する設備を備えるというメガラニカ。サイアムはミネバにこの施設を使って世界に語りかけるよう託す。しかし、この事態を連邦は看過することはないだろう。 地上では、コロニーレーザーが放たれようとしており、メガラニカに侵入しているはずのフロンタルの動向も気になります。フロンタルとバナージの生身のフェンシング対決は見れるのか(笑)?可能性の光は、途切れることなく受け継がれるのか?次号、いよいよ最終回です。 2009/06/01 shinji
03.登場人物ほか用語一覧 ■その他キーワード集はこちら |
|||||||||||||||||||||||||||||
安彦良和-WORLD WorkList-Illustration 機動戦士ガンダムユニコーン[0096/sect.8 虹の彼方に 3] |