■今月は64ページ(挿絵等含む)の掲載。「重力の井戸の底で」も今回が最終回ですので、福井氏的には気合いが入っている模様です。7/26発売の「GUNDAM MODELS」に福井氏インタビューが掲載されていますが、そこでは・・・
- ダカール大決戦が「ジャブロー戦」に相当する感じ。
- シャンブロ戦は怪獣映画でやるようなシチュエーションを狙っている。
- せっかく地上が舞台なので、ジオン残党など懐かしいMS達も出てくる。
- 季節を考慮して、地上戦で水陸両用MSが出るのは夏だよね~みたいな感じ。「哀・戦士」も夏公開だったし。
などと語られています。物語全般的なところでは、今までのガンダム・ストーリーでは母艦を中心に据えた学園モノに近い構造を持っていたが、バナージはその母艦を持たずいろんな場所を渡り歩かせている点が違う試み。・・・これは主人公がいろんな「アルバイト」を経験して、しかもライバル店にヘッドハンティングされたりもして、大人の社会を垣間見、考え方の違いを学んで世の中と対峙してゆくという・・・などと言う話も出ていました。まあ、福井さんの例え話なんですけど、「バナージ=アルバイト」の構図って・・・(苦笑)これも現代社会の一端を反映させているということでしょうかね?
さて、今回のストーリーは、いよいよシャンブロのダカール侵攻戦です。議事堂を目指して市街を破壊し尽くすシャンブロ。積年の恨みを晴らし満面の笑みを浮かべるマハディ。しかし、無関係の避難民まで巻き込むマハディの非情なやり方に、ロニは戸惑いを隠せない。一方、戦況を見守るガランシェール内では、首都の惨状を見かねたバナージがジンネマンに抗議、乱闘騒ぎになってしまう・・・。ラー・カイラムから駆けつけたリディと共に、荒れ狂うシャンブロを止めることが出来るのか・・・?
■ユニブロNO.17では、UC5巻「ラプラスの亡霊」と、模型ムック「ガンダムモデルズ ガンダムUC編」(アスキー・メディアワークス)の発売宣伝、9月発売予定の「ガンダムコレクションDX7」にユニコーン1/400スケールフィギアが出るとのCMでした。
■カトキハジメのメカ解説は2ページ掲載。AMS-129Mゼー・ズール、RGM-86R GMIII、RAG-79アクア・ジム、AMA-X7シャンブロの解説が入りました。
01.物語について
■いよいよだ・・・余分な言葉は必要なかった
06:06 シー・ゴーストの異音が察知され、ダカール港を警備するアクア・ジム隊が出動するも、待ち受けていたゼー・ズール隊に簡単に沈められてしまう。ゼーズールの支援を受けつつ悠々と湾を遡るシャンブロ。
06:20 ガランシェールが発進、遥か上空まで昇り終えると水平飛行に移行しつつ、ダカールへと向かう。全クルーが緊張する中、フラストは懐疑的にぽつりと漏らす・・・連邦首都であるダカールへの侵攻は、下手をすれば第三次ネオ・ジオン戦争が勃発するような大事。フロンタルがそのような作戦を容認する腹が読めないと。それに対し、ジンネマンは今次の作戦はマハディが主役で、自分たちはLa+プログラムが解けるのを待つだけだと話すが、ジンネマン自身も動揺している胸中は同じだった。
06:35 ユニコーンの装備を点検する整備士のトムラと話を交わすバナージ。「箱」の正体を見極めるためにやむを得ず作戦に参加するが、自分が馬鹿なことをしていることは認識している。コクピットでダグザの影を感じながら、連邦軍と戦うハメになったらどうするのか・・・?自問に答えは見つからないまま着々とダカールへと近づきつつあった。
今回の描写は時刻刻みが入っています(効果はよくわからないですけど) 表紙扉絵は上陸したシャンブロの図で始まりました。なんだこのロブスターみたいなのは・・・。ジムIIIの大きさと比較するとでかすぎる・・・ジムがオモチャのようです。また、冒頭アクア・ジムを撃破するゼー・ズールが登場。このゼー・ズール、ズコックみたいに新たに開発されたMSを期待していたのですが、ギラ・ズールにオプション装備付けただけのような気がします(笑) なんというか、ネオ・ジオンの台所事情が透けて見えるようで面白いですね。しかも、アクア・ジムのヤラレ方が、ジャブロー戦での名場面をそのままパクッていますね(苦笑)福井さんヤリスギですよ。
一方、ダカールへと向かうガランシェールでは、今次作戦の危険性や、フロンタルの意図が読めないこと、「ラプラスの箱」が危険と引き替えにするほどの価値があるものなのか?フラストが疑問を呈していることはクルー全員が思っていること。このことにジンネマン自身も動揺を隠せないが、彼には「箱」の正体が何であれ、行動を起こせる切っ掛けがあればそれで良かったのだった。長く待ちすぎ、待つのに疲れてしまった彼には、その先に破滅が待ち受けていたとしても・・・。
ここは、ジンネマン的には希望が見えない状態で戦い続けているだけですから、破滅思考へ傾いてしまうのは仕方がないところかも知れませんね。また、バナージを取り込んだ理由も自分たちの立場を有利にするためと自己確認。しかし、全てがそれだけのためだったかも確信が持てないジンネマンもいるわけで、ジンネマンの中の表裏描写も今後の見どころでしょうかね?
■機関室反応遅いぞ、なにやってんの!
06:40 ダカール港に接舷するタンカー船「ズユースIX」。その船舶が巨大な爪で引き裂かれる。一気に爆発するタンカー船に、警備に当たるMS隊が集結する。しかし、その対岸にシャンブロは現れる。海浜倉庫を破壊しつつ侵攻するシャンブロ、転進するジム隊がその後を追うが、そこにはゼー・ズール隊が待ち受けているのだった。
07:02 ダカール襲撃の報を受けるラー・カイラムのブライト。ガランシェールを追ってリビア上空に差し掛かっていたが、転進、ダカールへ急行することに。
07:09 ラー・カイラムからEWACが発進、リディもデルタプラスに搭乗する。自分がどの部隊の配下に着くのか・・・?しかし、部隊長ソートンの返事は冷たく艦内待機を命じるのだった。食い下がるリディに、ナイジェルが何故か助け船を出す。ナイジェルの理屈にソートンも折れ、リディは先発隊に加わることができたが・・・。
07:24 平穏な一日が始まるはずだった・・・プラトー地区の住宅街に非常警報のサイレンが鳴り響く。無関係な住人・避難民達が巻き込まれる中、シャンブロと警備隊との戦端が切られる。リフレクター・ビットによりビーム・実体弾を無効化するシャンブロはほぼ無敵。無人の野を進むがごとく、まさに「鋼鉄の怪獣」が進撃を続けてゆく。
「GUNDAM MODELS」の福井氏インタビューの通り、怪獣映画を彷彿とさせる暴れっぷりを見せてくれるシャンブロ。こういう展開を書いてみたかったのでしょうかね?福井さん的にはとても嬉しそうに書いている様が脳裏に浮かびます。でも、子供を含む無関係な住人が理不尽に巻き込まれていく描写は読んでて鬱になるんですけども・・・。
それと、自分のプライドを満足させるためだけに、まったく関係ないホテルを破壊させるマハディ。このマハディ、自分の行為を責任転嫁し自身を正当化するだけの、結局思慮深くない、ただの駄々コネキャラになってしまってて、勿体ないですね・・・。最初はこんな人物だとは思ってなかったので期待していたのですが・・・ただ無目的に殺し破壊するだけの存在なんて・・・そんなキャラだったとは残念です。まあ、復讐に取りつかれ狂気じみた人物でなければ、このような惨事を引き起こすことはないでしょうけど。この父親に従うしかなかった子供達が不憫だなあ・・・。
■こんなことで死ぬ理由なんてないんだ!
08:13 ガランシェールにダカールの中継が入る。首都の惨劇を目の当たりにしたバナージは、頭に血が上りブリッジへと駆け出す。
08:15 ラー・カイラムではシャンブロの目的を掴めないまま情報収集に当たっていた。そこでリディはブライトに単独攻撃を具申する。ブライトはその申し出を受け、偵察任務でリディを送り出す。
08:22 先行するリディが市街へと接近する。首都警備隊とともにシャンブロとの戦闘に入るデルタプラス。逃げ遅れた市民、避難民が目の前で巻き込まれる惨状を目の当たりにしたリディは、これ以上の犠牲を出さないために単身シャンブロに挑む。
08:40 デルタプラスのシャンブロへの牽制を視認するバナージ。バナージもまた、これ以上の犠牲を出さないためユニコーンを出す決意をする。しかしジンネマンはそれを許さない。彼の手中には拳銃が、その銃口はバナージに向けられていた。
単なる破壊と殺戮を目的とするかのようなシャンブロ、このマハディのやり方をバナージは認めることが出来ない。これを容認した者も、その一部に組み込まれた自分自身も断じて認められないと憤るバナージ。しかし、ジンネマンも作戦を容認した以上、どのような惨劇が行われようとも動じることはできない。
ここは主人公らしく正義感を振りかざすバナージ。やっぱり青いです。何を今更と思いつつも、一方で熱くなるバナージを応援したくもなります。バナージとジンネマン、二人の意地のぶつかり合い、ジンネマンの二面性を目の当たりにするバナージに注目。
しかし、今回の描写は無惨に市民が巻き込まれるので、気分的に暗くなりますね。読んでて今ひとつ盛り上がれない自分がいます。福井さん的には、殺戮描写が好きなんでしょうかね?
■感じる心を止めてしまってはだめなんだ
08:44 ソートン隊と二手に分かれ、南端ベルナルド岬方面からダカールに向かうナイジェル隊。海中に潜むゼー・ズール隊のプレッシャーを感じ攻撃を仕掛ける。エア・トランジェット!ナイジェルが声を張りあげる。
08:46 避難民の惨状を見逃せないのはシャンブロに乗るロニも同じだった。父マハディに迂回を提案するロニ。しかしマハディはそれを認めようとしない。
08:47 都市制圧に犠牲はつきもの、おまえの想像力不足とバナージに語るジンネマン。しかし、バナージもそれではおさまらない。こんなものは戦争でもない、ただの怨念返しだと食って掛かるバナージに、鉄拳を見舞うジンネマン。バナージも負けじと殴りかかりブリッジは騒然となる。
エア・トランジェット!って叫んじゃって・・・なんかトライスターの三連星は戦隊モノ見過ぎじゃないの?という感じがしますね。ストーリー上、真面目にやってるんですけど、私個人の中ではお笑い担当になりつつあります(苦笑) でもまあ、今回シャンブロに落とされて「おしまい」かな?とも思ってたンですけど、生き延びたことは褒めてあげたい。
一方のガランシェールではバナージとジンネマンの乱闘騒ぎ。このような惨事を招くことを承知した上で作戦に参加し、自分を殺し軍人として歯車となれるジンネマン。しかし、組織のしがらみに捕らわれながらも、なお個人の意思を貫こうとした人物をバナージは知っている。カーディアス、マリーダ、そしてダグザ達ネェル・アーガマのクルー・・・。彼らの支えがあって、今バナージはここに立っている。バナージは彼らから受け取った言葉を反芻し、自分が自分であるために、哀しさを感じることができ、それを受け止めれる人間になるために、前に進む決意をするのだった。
■そうだ怒っていい、これは理不尽だ
08:50 シャンブロの前に歯が立たない首都警備隊。そしてリディの機体もついにシャンブロの爪に捕まる!
08:53 ガランシェールに別れを告げるバナージ。離脱するユニコーンがダカールの市街へと落下してゆく。怒りの熱を身の内に灯し、それを増幅するユニコーンがデストロイモードへと移行する。怒りに呑まれるな!自らの意思でユニコーンを制御するバナージ。眼前にはシャンブロが迫る
08:54 突然のユニコーンの攻撃に戸惑うマハディ。裏切ったのか!?怒りに震えるマハディはユニコーン破壊をロニ達に指示するのだった。
08:55 デルタプラスと合流したバナージは、共同戦線を張る。
08:57 しかし、シャンブロは止まらない・・・。その時シャンブロのブリッジではロニが立ち上がり、父マハディを制止しようとしていた。銃で牽制し正気に返るよう諭すロニだったが、マハディの狂気は止まることを知らず燃え上がってゆく・・・。
今回わりと活躍したかに見えたリディでしたが、結局たいして動かないままシャンブロに捕まってしまいました。バナージが都合良く助けてくれたのは良かったですね。でも、この後、二人には険悪な空気が流れてしまうわけですが・・・。
マハディには予想外だったバナージの攻撃。まさかジンネマンからも裏切られるとは思ってもみなかったんでしょうね。その後ガランシェールは空域を離脱しちゃったみたいですが、一体どこへ行ったのでしょうか??
しかし、ガーベイ一家もこの章限りの出演だったので、残念ながらロニも退場となりましたね。その退場の仕方があまりにも無惨ではありましたが。キャラ立ちしてたから、出来ればもう一章くらい続けて出てくれても良かったのに。勿体ないことです。
さて、今回終盤にはブラック・ユニコーン「バンシィ」が登場し新たな展開が待ち受けています。デストロイモードに移行した黒ユニは大方の予想通り、「たてがみ」のある獅子タイプでありました。その鬣を表現しているのが、ブレードアンテナの角部分なのですが、挿絵を見る限りなんだか不細工な印象が・・・。次号くらいでその姿が拝めるんでしょうかね?ここのところは楽しみです。
しかし、このパイロットはマリーダ・・・。速攻で洗脳されてしまったマリーダ心弱すぎな気がしますが、これから更に鬱な展開が待ち受けているのかな・・・?だとしたらちょっと気が重いですね・・・。
2008/07/27 shinji
03.登場人物ほか用語一覧