安彦良和-WORLD WorkList-Illustration 機動戦士ガンダムユニコーン[0096/sect.7 宇宙と惑星と 1] |
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人の心は謎だが・・・恨みは簡単に消えるものではない■今月は46ページの掲載。新章「宇宙と惑星と -ソラトホシト-」がスタート。物語は、宇宙へ上がったガランシエール一行を追って、ナイジェル等三連星も宇宙へ上がり追撃するが、フロンタルの奇襲を受ける。三連星の運命やいかに? 一方、ネェル・アーガマと合流したバナージ等は、次なる「箱」の座標へと向かいつつあった。しかし、連邦とジオンが呉越同舟となった状態のネェル・アーガマ。生き延びるために手を握った双方だが、互いに憎しみに凝り固まった心の壁は崩れることがなかった。
今回は久々にアンジェロが登場、シナンジュの予備パーツで構成されたという新型MS「ローゼン・ズール」を駆りナイジェル等を翻弄します。有線ビット「インコム」を操るアンジェロはもしかしてニュータイプ? そして負け組コンビを結成したリディ&アルベルトは、巨艦「ゼネラル・レビル」を新たな拠点とし、「バンシィ」の新たなるパイロットとしてリディが搭乗することになる。嫉妬の末にダークサイドに墜ちた(?)リディはバナージの障壁となりそうですが、果たしてどうなるのか? ■ユニブロNo,21は、2009年1月10日、11日に行われるガンダムUC7巻発売記念・福井氏サイン会の告知。1月10日は三省堂書店カルチャーステーション千葉、11日は三省堂書店神保町本店で開催。UC7巻購入者先着150名に整理券が配布されるようです。詳細は三省堂のHPへアクセス。 あとは11/18に開催されたヤマシロヤサイン会のレポ、UC8巻特装版付属バズーカの公開記事。尚、バズーカのカラー画像はGA巻頭に3ページほど掲載されています。 ■カトキのメカ解説ページは休載 尚、12/27に「MGシナンジュ」が発売されています。既に完成されている方もいるでしょうね? 01.物語について ■遅いんだよ、お前達の帰る場所はなくなる! 宇宙へ上がった「ガランシェール」を追撃するナイジェル等三連星の面々。彼等は執拗に追撃を具申し「ラー・カイラム」を離れ「キャロット」隊へと編入されたのだった。L3宙域へと向かうミノフスキー粒子散布源を追って、三連星が出撃した直後、異変は起こる。母艦キャロットとテネンバウムが奇襲を受けたのだ。鮮やかに飛翔する敵の赤いMS・・・あれこそは「袖付き」フロンタルの駆るシナンジュ!そして彼を支援するアンジェロのローゼン・ズールが三連星に牙をむく! 前回迄で大して活躍できないまま三連星の出番は終わりかな?と思っていましたが、「ラー・カイラム」を離れ宇宙にまで出張してきたナイジェル達。でも結局ジェスタ程度のMSでは、フロンタルやアンジェロの敵ではなく、ヤラレ役にすぎないような気がしますが・・・。 さて、12月27日「MGシナンジュVer.Ka」発売に合わせたかのように本編でもシナンジュが再登場、この辺りは商業的・大人の事情的匂いがプンプンしてきますね。(余談ですが今回はMGシナンジュ買ってません。たぶんユニコほど売れそうもないので、年明け以降に余剰在庫が投げ売りされるのを待ちます) そのフロンタル、鮮やかにキャロット&テネンバウム両艦を沈めますが、舞い戻った三連星の連係プレイにプレッシャーをかけられます。アンジェロは「ローゼン・ズール」で援護しようと動きますが、フロンタルに制止されガランシェールを追うよう指示されます。アンジェロはフロンタルに余裕があることを悟り、彼の力量を疑った自分を恥じたりします。 久々に登場したアンジェロですが、やっぱりフロンタルに夢中なようですね。しかも彼の専用機体「ローゼン・ズール」が登場。シナンジュの予備パーツを使用した機体で、両腕の有線サイコミュ端末「インコム」を駆使し大活躍。 対ユニコーン用とされるローゼン・ズールですが、アンジェロ的には「バナージ憎し」の思いが相当強いようで、「どこまで無礼なのだ貴様は!」とか「馬鹿にして!」などと独り言を叫んでいる姿はちょっと異様な精神状態ですよね(笑) 今後、粘着アンジェロとバナージがどう決着つけるのか気になるところです。 ■我々は生き延びるためにのみ戦う ガランシェールを追跡するアンジェロは、船を捉えたものの無人、そして直後に自爆するガランシェール。爆風に巻き込まれ、ローゼン・ズールを傷つけてしまい、へこむアンジェロ。船は囮だったわけだが、ではジンネマンをはじめとしたクルーは何処へ・・・? ガランシェール・クルー達はネェル・アーガマに乗船、次なる「箱」の座標へと向かいつつあった。ネェル・アーガマへはブライトからの通信が入り、ガランシェールが沈み、フロンタル等の陽動に成功したことが告げられる。 今後「ネェル・アーガマ」の生命線をつなぐためには、「箱」を誰よりも先に確保しなければならない。ビスト財団や移民問題評議会によって闇の中で抹殺されないためにも、ブライトは中央議会の議員に働きかけ裏工作を行っている。今までのブライトの動きがバレれば、彼自身も反逆罪で銃殺もあり得る・・・。 理不尽な状況に巻き込まれてしまったが、それぞれの運命は、自身が足掻き切り開かねばならない。「生き延びるために戦う!」クルーの前で檄を飛ばすオットーだった。 ネェル・アーガマのクルー達の置かれた立場はかなり厳しい状態です。なんか緊迫してきましたねえ・・・。ジオンのトリントン基地襲撃を利用して、ネェル・アーガマを掠め取ったブライトだったが、結局のところ最後にネェル・アーガマのクルー等を救うためには、彼等自身が動き、考え、「箱」を確保するしかないという結論に達する。「箱」が実在すれば治安維持名目でロンド・ベル全隊も派遣できようし、「箱」を交渉材料に身の安全を図ることも出来ると。 ブライト自身もリスクを負った行動だが、その責を負うネェル・アーガマのクルー達も重責だ。理不尽な状況とはいえ、今は自分たちが生き延びるために足掻くしかない。重苦しい雰囲気が押し包む中、オットーやレイアム等の間には強い協力関係が築かれつつあった。 ■ニュータイプの勘か? ジンネマンに教えられ、ユニコーンに取り付けられていたサイコ・モニターの発信機やプログラムが取り除かれた。これで座標がフロンタル側に漏れる危険はなくなったわけだ。ユニコーンの機体は、大気圏を脱出する際に装甲こそ融解したものの、中のサイコフレームは傷一つない状況だった。普通なら腕がもげていても不思議ではない状況だったのだが・・・、一同はこの現象に首をひねる。説明を求められたアーロンは重い口を開き、一つの録画記録を提示する。 その録画記録とは、3年前の「アクシズ」落下事件の映像だった。そこには「ガルダ」戦でユニコーンとバンシィが共鳴することで起こった「サイコ・フィールド」と同様の現象が起こっていた。 サイコフレームの説明を始めるアーロンと、それをファンタジーだと断じるジンネマン。可能性、宗教・・・それぞれに、この宇宙世紀のオーパーツに対して感じるところがある・・・。バナージはその共感を言葉にしようとするが、上手く皆に伝えることが出来ない。その時ミネバが助け船を出すように語り出す、「信じることで生まれ、養われるものがある。」つい数日前まで互いに敵同士殺し合う存在だったが、今はこうして互いの主義主張を越えて力を合わせようとしている。人の思いには可能性があるのだと・・・。 人の意思に感応し物理的エネルギーに変換するという、サイコフレームのファンタジックな力は、オーパーツ扱いされてしまいました。まあ、実際科学的に説明できないものはそんなものでしょうけど。(どうでもいい余談ですが、軍事的に研究されているとしたら、後のターンエーの月光蝶はこのサイコフィールドを制御化・兵器化したものなんでしょうかねえ・・・?) 一方、こんな技術的な話の合間にも、ジオンと連邦がすっかり仲良くなりました!なんて都合のいいことはなく、エコーズのコンロイやジンネマン等の間には、深い確執の溝が横たわったまま反目しあっている。今は互いに協力しなければ生き残れないかも知れない瀬戸際なのに・・・この不協和音は不安がよぎりますね。 また、バナージが自分の感じた思いを言葉に変換しようと必死にもがきますが、上手く周囲に伝えられない。自分の言葉を相手に伝える難しさともどかしさ、非常にバナージの気持ちがわかりますが、鳶に油揚げをさらわれるようにミネバが横からヒョイと言葉を投げかけて周囲の注目を浴びるというのは、ホント小憎たらしい小娘だなあ~、本人はバナージに助け船出したつもりなのかな?すました顔して語る生意気娘の挿絵イラストを見ていたら余計にむかついてきました。俺、やっぱりミネバ嫌いみたい。 ■問題は、そこになにが記されているかだ 静止衛星軌道上にあるドゴス・ギア級巨大戦艦「ゼネラル・レビル」に母艦を失ったトライスター等は向かいつつあった。丸一日飛行を強いられようやく地に足をつけられる安堵に一同が包まれたその時、突風のように現れた一機のMSがあった。黒いユニコーン「バンシィ」、そしてそのパイロットはリディ・マーセナスだった。 「ゼネラル・レビル」には既にビスト財団からアルベルトが派遣され、作戦を掌握する立場にあった。アルベルトは高圧的な態度でマセキ艦長に指示し、全艦放送で演説を始める。 その後、アルベルトはマツシロ基地に身を寄せているマーサと連絡、ブライトやローナンの動きを警戒する。ただ、「バンシィ」のパイロットがリディであることはマーサには伏せるアルベルト。リディはアルベルトに何故マーサを裏切るのか問うが、アルベルトはその質問をはぐらかす。 互いに求めるもののために手を結ぶ二人、ユニコーンを倒したいというリディ、そしてマリーダを取り戻したいアルベルト。二人の突き進む先にあるものは・・・? リディとアルベルトは紆余曲折を経て共闘関係に。二人とも事態に流される中で、どんどん心が屈折してしまったようですね。もうドロドロ情念の世界です。特に気さくなカウボーイ風だったリディが、ミネバにふられて以降ダークサイドに墜ちていく様は見てられないなあ、あんな生意気な小娘に人生狂わされるなどあり得ぬだろう?一時はバナージと協力していくのかとも思いましたが、ふられた腹いせにバナージ憎しに変わるのはいかがなものか? さてこの先この二人どうなるのでしょうかね? ■「箱」を託すに足りる者 ネェル・アーガマの展望室に久々に集まったバナージ、タクヤ、ミコットの三人。ついこの間までのインダストリアル7での記憶が蘇り、まるでこの数日が夢だったかのようにさえ思える。今やタクヤは整備班、ミコットは衛生科へと配属され見習いながら働いている。 同じくネェル・アーガマに収容されていたガエル・チャンとの話し合いから、バナージの出自などは全艦に伝えられ、タクヤ等もその事実を知っている。バナージはガエルとの話を思い出し、「あるべき未来を取り戻す」「箱が開放された後の世界を立て直す、新たな体制造りの礎にしたかったのでは・・・」といったカーディアスの想いを反芻する。 カーディアスの壮大で馬鹿らしくさえある計画を笑う一方で、不確かな物に全てを賭けたカーディアスがロマンチストだったとも思う自分がいる。同じ人間として、男として、父の人間としての不完全さを理解し認めることが出来たバナージ。だが、わだかまりが消えていく一方で、この気持ちをもう伝えることが出来ない口惜しさがバナージを包んでいた。 一方、マリーダの側につくジンネマン、「箱」の正体を一人の人間として見極めたいというミネバの決意を回想しつつ、ミネバの指導者としての成長を喜ぶ一方で、現状、連邦と手を結んでいる状態に甘んじているわけではない自分も認識していた。バナージやミネバが見ている世界を否定はしないが、自分はそこには住めそうもない、妻と娘を殺した連邦を許せるわけがない、この頑なな想いを覆らせることは何者も出来ない。これが現実だと、ジンネマンは呟くのだった。 久々に旧友との時間を取り戻し、癒されるバナージ。そしてガエルから話されたカーディアスの想い。ここでようやくバナージの父とのわだかまりが解け、抑圧された心が開放されたような印象ですね。 ユニコーンは強化人間には反応せず、真のニュータイプにしかその道標を示さない、真のニュータイプ、深い洞察力とやさしさを持つ人が実在するなら、その者は属する組織やエゴに囚われることなく「箱」をよりよき力として使ってくれるだろう・・・。 しかし、バナージはこうしたカーディアスの想いを肯定しつつも、父が望むようにするかは分からないとも考える。いずれにせよ、「箱」の正体を見極め、皆が納得する方法を見つけなければならないのだ。 さて、今回はそれぞれ複雑な立場に置かれた登場人物が、苦悩しつつ自らの答えを導きださんと動き始めました。心の動きを追っているので、ちょっと重苦しい話になりがちでしたが、先に向けての展開が楽しみですね。物語は「箱」の正体に向かって佳境を迎えつつあります。次回はジンネマンがクルーと連絡を取りつつ何か動きそうな予感です。これが彼の死亡フラグにならなければいいのですが・・・。 2008/12/28 shinji
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