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安彦良和-WORLD パンくずリスト WorkList-Illustration リスト 機動戦士ガンダムユニコーン[0096/sect.8 虹の彼方に 2]
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機動戦士ガンダムUCユニコーン
MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN
0096/sect.8 虹の彼方に 2

福井晴敏 (著)・安彦良和(キャラクターデザイン)

  1. ユニコーンガイド キーワード集 [1] [2]
  2. プロローグ
  3. 0096/sect.1 ユニコーンの日 [1] [2] [3] [4] [5]
  4. 0096/sect.2 赤い彗星 [1] [2] [3]
  5. 0096/sect.3 パラオ攻略戦 [1][2][3]
  6. 0096/sect.4 ラプラスの亡霊 [1][2][3]
  7. 0096/sect.5 重力の井戸の底で [1][2][3]
  8. 0096/sect.6 黒いユニコーン [1][2][3]
  9. 0096/sect.7 宇宙と惑星と [1][2][3]
  10. 0096/FinalSect 虹の彼方に [1][2][3][4]
8 宇宙と惑星と 機動戦士ガンダムUC (8) 宇宙と惑星と UC7巻 黒いユニコーン

ニュータイプ、それは若さが生む一過性の力
すなわち、若気の至り!

今月は最終章「虹の彼方に 2」 63ページの掲載(挿絵含む)。物語は、インダストリアル7へ向かうネェル・アーガマと、それを阻止せんとするネオ・ジオン艦隊との壮絶な戦いが続く中、手負いのネェル・アーガマに、バナージが撃ち漏らした艦隊が迫る。もはや応戦する戦力もほとんど残されていないネェル・アーガマのクルー達は追い込まれ絶望してしまうが、ブリッジに復活したジンネマンが現れる。絶体絶命の危機を切り抜けられるのか?
一方、アンジェロの駆るローゼン・ズールに苦戦するバナージ。共鳴する二人の思惟が交わり、アンジェロの悲惨な過去を目の当たりにするバナージだったが・・・。ニュータイプは解り合えるのか?

ユニブロ、カトキハジメによるメカ解説はお休み。
特報として、2009年冬、機動戦士ガンダムUCユニコーンのアニメ化が発表されました。スタッフは・・・

監督:古橋一浩(るろうに剣心・ハンタ・RDなど)
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン原案:安彦良和
アニメキャラデザ:高橋久美子
MS原案:大河原邦男
メカニックデザイン:カトキハジメ、佐山善則、石垣純哉、玄馬宣彦
設定考証:小倉信也
ストーリー:福井晴敏

媒体はまだ未発表ですが、福井氏のコメントには「第一話の絵コンテ」と話しているので、映画では無いようです。だとすると、TV放送かネット配信でしょうか? 放送時期が「冬」という表現ですから、秋からの新番組ではなさそうですし、TVの深夜放送なら「冬」でもありえるかも? ただ、サンライズが2009年はTVでガンダムをやらないとか、ネット配信はやるようなコメントをどこかでしていたように思うので、採算性をどうとるのかは別として、ネット配信もありえるかも。



01.物語について

敵に横腹を見せろと言うのか? 

インダストリアル7に向かうリディの元に、アルベルトが急行していることが伝わる。このまま待つか、インダストリアルへ向かうか二者選択を迫られるが、リディは直行することを選択する。

一方、 ユニコーンがローゼン・ズールに手間取っている中、ネェル・アーガマは混乱に陥っていた。MSは撃墜され、クルーも何人死んだのか・・・、その上まだ生き残っている敵艦隊が三角陣を組んで接近しつつある。「これまでか・・・」撤退するか迷いを見せるオットーだったが、その時ブリッジにジンネマンが現れ、テニスン艦隊突破の打開策を提案するのだった。

ジンネマンの提案は、大破し漂流状態に陥ったと見せかけ、敵が密集隊形で一斉射を狙ったとき、逆に敵司令艦を撃破する作戦だった。テニスン艦隊をよく知るジンネマンだからこその発言。ガエルも無線でジンネマンの案に同調する。「今退いてどうする」可能性を信じて迷いを断ち切ったオットーは、クルーに命令を下すのだった。

チェックポイントようやく忘れ去られていたリディがちょっとだけ登場。アルベルトのことが気にはかかるが、「箱」確保を優先してインダストリアル7へ先行することに。リディの活躍(?)は後半で。

そして、引きこもりから復活したジンネマンがブリッジに現れる。諦めムードだったクルーやオットー達に、諦めずに信じるんだと声をかける。裏切り行為をしておいて今更何いってんだ!とクルーが殺気立つのは当然ですよね。でも、追い込まれてテンパッている最中なので、何でも言えてしまいそうなシチュエーションです。

心が折れそうだったオットーは、ジンネマンの声に支えられ最後の賭けに出ることに。何もしなくても連邦上層部に抹殺される運命にあるのなら、戦って血路を開こう、というのが今回の戦いの決意だったのですから、今更逃げ出す選択はないだろ、どこに逃げるんだよ?と私も思います。果たしてネェル・アーガマはこの危機を乗り越えられるのか?


現実を見ろ、アンジェロ・ザウパー!

アンジェロのローゼン・ズールに苦戦するバナージ。三連星が援護に入るも、突っ込みすぎたワッツが犠牲に・・・。しかし、ワッツの最後の声がバナージに届き、サイコ・ジャマーを破ったユニコーンが反撃を見せる。シールドをファンネルにように操りローゼン・ズールのインコムを弾くバナージ。更にローゼン・ズールを乗っ取るユニコーンは、インコムを使って本体に攻撃を加える。

追い詰められたアンジェロに、バナージが語りかける。フロンタルはただ見ているだけ、アンジェロを助けることもしないと。バナージの声を全否定するアンジェロ、白熱するサイコフレームの輝きが二人を包み、アンジェロの過去が蘇る・・・。

チェックポイントサイコ・ジャマーを打ち破り、反撃するユニコーン。追い詰められたアンジェロは、サイコフレームの共鳴に包まれバナージと思惟交信状態に入る。バナージが識るアンジェロの過去とは・・・

幼年時代の幸せな家族との生活、それがある日を境に一変する。マリーダやジンネマン同様にアンジェロの悲惨な過去を目の当たりにするバナージ。同じようにバナージを識るアンジェロ。しかし、二人の歩んできた人生はあまりにも相反する人生だった。バナージの人生が眩しすぎるアンジェロにとって、自分の心の中をバナージに勝手に覗かれたことは、土足で踏みにじられたかのような屈辱だった。

バナージの「わかりあえるんだよ、人は」という空気読めない言葉は、アンジェロにとっては上から目線で受け入れられる言葉ではなかったようです。私自身もアンジェロのように、他人に自分の心の中を勝手に覗かれたら怒り心頭になってしまうでしょうねえ、これじゃあレイプだ。アンジェロの「出て行けぇーッ!」という錯乱した怒りの気持ちがよく伝わります。

しかし、ジオンサイドは悲惨な過去に縛られたキャラが多いですね。幼年期に衝撃的な恐怖を植え付けられたら人間がねじくれてしまうのも理解できます。そして、自身を汚れ無き世界へ導いてくれると信じていた男に、助けられることもなく見捨てられてしまうアンジェロ・・・。最後は精神崩壊してしまって、救いもない展開でちょっと可哀想。


中年の絶望を押しつけてもらっては困る!

アンジェロすら捨て駒に使い、最後まで力を温存していたフロンタルが満を持して出撃。ユニコーンとシナンジュの戦いが始まる。バナージの力を「不遜な力、危険な存在」と断じるフロンタルに、バナージも「お前は傍観しているだけだ」と応じる。二機のタイマン勝負に、ジェスタが割って入ろうとするが、サイコ・フィールドに包まれたユニコーンとシナンジュに近寄れない。

一方、ネェル・アーガマの窮地を救ったマリーダは、ジンネマンの引き留めの声を振りほどき、バナージの支援に飛ぶ。

チェックポイントバナージとフロンタルの戦いは、半分罵りあいみたい(苦笑)なのですが、話は今までのストーリーで語られてきたことの繰り返しです。バナージは、人は解り合える、不変なものなど無く、自分も世界も心一つで変えられると、人の可能性について論じます(アンジェロは拒絶しちゃいましたが)が、フロンタルの主張は・・・、

ニュータイプは若さが生む一過性の力に過ぎない。可能性とは混沌、不定形で破滅にも転じやすいもの。不確実性を不安に感じる人もいる、人々が求めるのはわかりやすい答え。彼等には「変わらぬことの結果」だけ示せばいい。可能性はいらない、受け入れられる結果を示せ。と、いうものでした。

可能性を求めるもの、変化を求めないもの、それぞれに言い分があるわけですが、ちょっと話がずれるかも知れませんけれども、環境に応じて変化していかないものは結局ジリ貧になってしまうんですよね。生物の進化とか環境に適応できない種は滅びが待っているし、経済活動も同様に環境に応じて変化していかなければ、ある日突然商品が売れなくなることも。

そういう観点から見れば、フロンタルの「変化を求めない」姿勢は硬直しきっていて、いずれは破綻してしまうのを待つだけになってしまうように思います。バナージが言う「中年の絶望」という辛辣な言葉は、年老いても柔軟な心で変化を受け入れられるような気持ちでいたいという作者のメッセージなのかも知れません。


その仮面をぬげ!フル・フロンタル!

俺は器!と唱えるフロンタルに、その絶望の根は何なんだ?と、バナージは問いかける。再びユニコーンのサイコフレームが輝き、二人は思惟交信モードに突入。フロンタルの心の奥底にあるものとは? フロンタルの思惟にサイコ・ダイブするバナージが見たモノは、虚無の世界だった。

孤独な深淵の底で悶えるバナージ。宇宙の尺度では人の一生など一瞬の瞬きに過ぎない。はかなき一瞬に予め決まった結末があるだけなら、何をしたところで・・・虚無に取り込まれたバナージの心が折れそうになったとき、マリーダの声がバナージを引き上げる。「それでも・・・!」と。

援護に駆けつけたクシャトリアがシナンジュを攻撃する。シナンジュを足止めする間に、「箱」へ向かえと指示するマリーダ。バナージは躊躇するが、マリーダの声に押されユニコーンはインダストリアル7へ向かう。

チェックポイントフロンタルの心の中は虚無の世界。どうやってそのような世界をバナージに見せることが出来たのかは不明ですが、フロンタルがニュータイプの思惟交信に慣れた人物であることや、自分の思惟をコントロールして他人に見せることが出来る、非常に達観した精神構造である事を示しています。座禅やヨーガでもやってたンですかね?(笑)

そんなフロンタルの創られた思惟世界に呑み込まれたバナージは、速攻ヘロヘロ状態になってしまいます。まだしっかりした自分の世界を構築できていない人は他人に影響されやすいということでしょうか。もう最終章なのにまたしてもヘタレ気味のバナージです。結局マリーダが窮地を救うことになりましたが。

しかし、クシャとの戦闘も余裕を見せながら、「箱」へと向かうバナージを見逃すフロンタル。「君自身が造りだした魔物が、君を探している」というフロンタルの言葉が意味するものとは一体?

バンシィ、俺に力を貸してくれ!

ついに全ての始まりの地である「インダストリアル7」へたどり着いたバナージ。今までのことが脳裏を過ぎったのも束の間、突如メガ粒子の砲撃に晒される。待ち伏せしていたバンシィが舞い上がる。

リディの攻撃に困惑するバナージ。リディはマーセナス家の一人として、「箱」を守る義務があるとバナージに告げるが、本当はオードリー(ミネバ)を連れ戻すためだと反論するバナージ。図星を指されたリディは逆上するが、ユニコーンの動きについて行けない。窮するリディだったが、援護に駆けつけたアルベルトの声がリディを支える。

アルベルトが持参したサイコフレームが、バンシィの力を引き上げたのだった。ついにデストロイモードに入るバンシィ。ガンダム同士の戦いの行方は?

チェックポイントいよいよリディと決着をつけるときが来ました。バナージに本意を見透かされ、手加減までされてしまい、プライドを逆なでされたリディは逆上。そこへ、アルベルトの援護が入りバンシィがデストロイモードへと移行する。サイコフィールドに包まれた二機の戦いがどうなるのか?

しかも二人の戦いに、火に油をぶっかけるかのようにミネバが戦場に乱入します。おいおい、姫様これ以上引っかき回すなよ・・・、と思うのですが、この人を止める人物が見あたりません。ミネバの語りかける声に、やっぱり心を硬直させたリディが激昂するのでした。



でも、これはもう・・・取り返しのつかないこと・・・なんだよな・・・

シナンジュの攻撃をかわし戦場を離脱したマリーダ。彼女はクシャトリアを駆り、バナージの援護に向かう。激闘が続くユニコーンとバンシィ。バンシィに取り込まれたリディが暴走を始める。リディの頭の中に流れ込む、ミネバやネェル・アーガマクルーの声、自身を全否定されたと感じたリディは、ビームライフルをネェル・アーガマへと向ける。

閃光がが弾け、凶弾ががネェル・アーガマへと飛ぶ!「よせぇーッ!」絶叫するバナージ!!その時、間に割ってはいるクシャトリアの姿が・・・マリーダの運命は??

チェックポイントうーむ、もう終盤に来ていたので、まさかこんな展開はしないでしょう?と思っていましたが・・・。福井さんやってしまいましたね。「光る宇宙」を描写してみたくてしょうがなかったんでしょうねえ・・・。やはり強化人間に幸せな未来はないのか・・・orz ワンパターンな悲劇はやめて欲しいと願っていたのですが、福井さんには気持ちが届かなかったようです。残念。

やってしまったリディも、あまりに救いがなさ過ぎて・・・読んでてへこんでしまいました。さて、このまま後残すところ1話&エピローグで終わってしまうのですが、最後はどうまとめてくれるのでしょう。最後は希望のある、気持ちの良い終わり方をしてほしいものですね。

2009/04/26 shinji

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