■今月は「宇宙と惑星と -ソラトホシト- 2」 50ページの掲載。物語は、ダカールでローナン議員と会合するカイ・シデンの登場。ローナンはカイに対し「箱」にまつわる今までの事件、財団と癒着している参謀本部メンバーリストを提示、それを記事にしろと迫るが、カイの反応は・・・。一方、宇宙では共和国軍の鷹派「風の会」のメンバーが航海訓練中に離脱、フロンタル等に先立ち「ネェル・アーガマ」を足止めしようと動き出していた。そんな動きも知らずに次なる座標位置「L1ジャンクション」の調査へと向かうバナージとミネバ。そしてネェル・アーガマ内部で暗躍するジンネマン。果たして「箱」の入手は・・・?
■ユニブロNo,22は、2009年1月10日、11日に行われるガンダムUC7巻発売記念・福井氏サイン会のレポ。「L1ジャンクション」についての解説記事。
あとは別ページにて、UC8巻特装版付属バズーカの公開記事。
■第15回 カトキのメカ解説ページはRMS-106CS HIZACK CUSTOM(ハイザック・カスタム)RMS-119 EWACZACK(アイザック)RMS-106
HIZACK(ハイザック)HOBBY-HIZACK(ホビー・ハイザック)GENERAL-REVIL(ゼネラル・レビル)など
01.物語について
■マスコミは風見鶏になるべきではない
5月9日、惨劇の爪痕が深く残るダカールに、カイ・シデンの姿があった。ローナンからの会談の申し出を受け、中央議員会館へと向かっていたのだ。パトリックに通されローナンと対面するカイ。ローナンは「箱」を巡る一連の事件、財団と癒着する軍幹部を内部告発するためカイを利用しようとするが、カイは政治に利用され広告塔になる気はないとローナンの申し出を断る。
ファーストからのキャラ、「カイ・シデン」が終盤にきて登場です。なんか、ことぶきの「カイ・レポ」みたいな話になってきましたが・・・、カイが元WB部隊のメンバーで著名であるという点では広く影響力があるのでしょうが、カイのような性格の捻くれた男を制御するのは難しいでしょうね。事実サクッと依頼を断ってますし。
ローナンの趣旨は、財団と軍参謀本部の癒着をマスコミに暴露し彼等を更迭、指揮系統を取り戻すこと。そして財団には一連の事件の責任をとらせ、連邦政府は「箱」を管理下に置くというシナリオだった。
しかし、カイはローナンの政治家としての姿勢の変節に違和感を感じていた。かつて「宇宙に目を向けよ」と語っていた政治家が、いつからかスペースノイドの独立運動を恐れ、連邦の威信という壁で地球を覆おうとしている。ローナンのこうした姿勢は、カイには相容れない生き方だったようです。
カイは今回のみのゲストキャラっぽいかな?。結局ローナンには得るモノもなく、チクチクと嫌みを言われて帰って行っただけのような気もしますが(笑) 福井氏的にはファンサービスという意味も含み、一度カイを描写してみたかったんだろうな~、という気がします。Z以降はジャーナリスト・キャラとなって、台詞回しやらインテリ風にしなきゃならないし、使いどころが難しいキャラですよね? 結局、陰険な雰囲気をまとわせてしまって成功とは言い難い結果だったような・・・。
■あなたのためなら、どこまでも・・・
遠洋航海訓練中の艦隊、護衛につく共和国軍「グルトップ」は、L1宙域でネェル・アーガマが発するビーコンをキャッチする。共和国軍の要所に配置されている鷹派「風の会」メンバーへは、既にモナハンより「ネェル・アーガマ捜索に関する通達」が発せられていた。ネェル・アーガマ発見に、「風の会」メンバーの一人ギリガン・ユースタスは浮き足立つ。本国及び「袖付き」への一報後、護衛任務を離脱しネェル・アーガマ追尾に動き出すギリガン。「グルトップ」艦長であるホーギーを無視し暴走する彼は・・・。
一方、グルトップからの一報を受けた「袖付き」はMS隊による長距離進攻の断が下される。フロンタルから「頼りにしている」と声をかけられたアンジェロは、強力な敵に成長したバナージに戦慄するとともに、フロンタルへの熱い思いに打ち震える。
ここでニューキャラクター、ギリガンの登場。ファーストで言えば上官命令無視で暴走したジーンが当てはまるでしょうか? 艦長であるホーギーを小馬鹿にした態度で足蹴にし、主導権を握ったギリガンは誇りと愛国心に溢れた軍人というよりは、モナハンの主張を鵜呑みに受け入れ、満たされない欲求を晴らす機会を手に入れた子供のようです。喜々として部下に着替えの制服を配り、一時の充足感に酔いしれるギリガン、なかなかのネタキャラではあるのですが、早々に宇宙の塵と消えそうな気もしますね。
しかし、ここで可哀想なのがホーギー艦長でしょうか。若手の部下に上から目線で命令され、まったく立場なくあしらわれてしまう彼は、このまま活躍することもなく艦とともに沈む運命にあるのか・・・?
一方のアンジェロは、ますますフロンタル萌えに拍車がかかります。彼の過去もこれから明らかになるのでしょうが、マリーダに負けない陰惨な過去が描写されるのでしょうねえ・・・。アンジェロ脳内的には「箱」を巡る戦いではなく、「フロンタル」を巡るバナージとの戦いになってしまっている気がしますが、クライマックスに向け彼のネタキャラ爆発を期待したいところです。
■奪われたものを奪い返し、自分の選択を肯定する力
ネェル・アーガマは付近を警戒しつつ、L1ジャンクションの調査を開始しようとしていた。調査にはミネバも同行する手はずになっているが、コンロイはジンネマン等の動向を不安視し、万一の場合はミネバを人質にするようバナージに指示する。
一方のゼネラル・レビル。未だ「バンシィ」を乗りこなせないでいるリディ。急速にユニコーンを制御できるようになったバナージが脳裏をよぎり、バナージへの敵対心が沸き上がる。そんな焦燥感募るリディの前に、ナイジェルが現れる。我執に取りつかれバンシィに呑み込まれかけているリディをたしなめ、煽るナイジェル。
ナイジェルの挑発にのり、ブチキレたリディはナイジェルに殴りかかるが、アルベルトが間に割って入り制止する。ナイジェルは下士官に殴らせバンシィからリディを引きずり下ろす算段だったが、アルベルトにその意図を見抜かれていたようだ。
ナイジェルがその場を離れた後、アルベルトは無意識に封印していた過去の記憶を語り始める。そしてリディに対し状況をコントロールする力を身につけろと助言するのだった。
生き延びるため、互いの利害を超えて共闘する道を選んだはずのジンネマン組と、ネェル・アーガマ組。しかし、互いに疑心暗鬼は拭えず、不安が膨らんでゆくばかり。理想論を唱えるバナージ&ミネバなのだが、現実には理想通り事が運ぶことはないのだ。互いに自身の身を守るため、予防線を張る動きがあるのは致し方ないことなのだが、そこでコンロイに対しミネバが「残留思念」の話をするのは、ちょっと話の方向性がずれている気がしますが・・・。
関わった人を結びつけるマシーン(ユニコーン)という話と、周囲の動きはどうあれ、最後まで希望は捨てないという気持ちの現れを、何とかリンクさせようという表現なのかな(?)とも思いましたが、この話の直後、バナージやコンロイがミネバに敬意を感じちゃうところも、なんだかとって付けたようで・・・必要以上にミネバの存在を「偉大」にしようという福井氏側の思惑が見えてしまって、ちょっと不自然に感じる部分も。
ミネバは登場当初からトラブルメーカーだったし、もっと17歳の等身大の少女的な描写でもいいと思うんですが、無理矢理にお高い場所に持ち上げようという意図がなんだか鼻についちゃうンですよねえ・・・。
そして、負け組チームのお二人さん。互いに傷を舐めあいながら奇妙な友情を育んでいるようです。リディはどんどんダークサイドに墜ちていって、なんだかどうでもいいキャラに成り下がりつつありますが、アルベルトはダメダメなリディを支える、良いお兄さん的な存在に成長してしまっている(笑) その優しさを(腹違いとはいえ)実の弟であるバナージに少しくらい見せてやれよ!とも思うのですが、その屈折したところがアルベルトの面白いところかも。早々に死ぬキャラかと思ってましたが、このアルベルト、終盤に来て更に面白い男になってきたなあ~。
■私も信じたい、信じさせて・・・
いよいよL1ジャンクションの調査が開始される。目的地に到達する5分余りの間、バナージとミネバは束の間、二人切りの時間を持つ。ミネバはバナージに対し問いかける、「箱」を前にしてジオンと連邦がこのまま協調できるのかと。自分の行動に自信が持てない不安、重圧、自責の念・・・ミネバの胸中にいくつもの想いがよぎる。
バナージはそんなミネバに対し、自分の今までの行動が間違いではなかったと安堵感を覚えると同時に、可能性を信じようと語りかける。二人の想いが重なり、互いに体を寄せ合う二人・・・。
ユニコーンが目標座標に到達しようという頃、ネェル・アーガマ内部では、ジンネマン等が行動に移っていた。ジンネマンの脳裏にはバナージの表情がちらつくが、それを振り切り小型拳銃を握りしめる。
ミネバの勿体ぶった不安な素振りに、希望と理想論のお花畑状態で対応するバナージ。でも、ミネバ的にはその理想論に同調している部分があるので、コロリと心を開いてしまいます。ここのラブラブ状態(?)は一応ファンサービスでしょうか?、結局キスも未遂で終わるわけですが・・・。
一方、ジンネマンは予定通り作戦行動に移ります。でも頭の中はバナージへの罪悪感がよぎってますから、最後の最後でバナージの盾にでもなる展開なんでしょうかね?未だ死亡フラグが取れないままのジンネマン、彼の運命は・・・。
■宇宙と惑星と、そして人
目標座標へと到達したユニコーン。バナージが宇宙を漂いながら、想いを駆けめぐらせ、やがてユニコーンとバナージの意識が一体化してゆく・・・。その時、ユニコーンはデストロイモードへと移行し、新たなLa+の座標を表示する。これが最後の座標「箱」のありかなのか?
その直後、バナージはギリガン等、共和国軍の襲撃を受ける。デストロイモードで攻撃を回避するバナージだったが、補助席のミネバがGに耐えられない!動きが鈍るガンダムの前にギリガン隊が迫る。
いよいよ最後の座標と思われる場所を指し示すユニコーン。しかし、ミネバを乗せた状態で、戦うには不利な条件の中ユニコーンに共和国軍が迫る。また一方では、ネェル・アーガマをジンネマンが占拠し、バナージに武装解除を呼びかける。ミネバを人質にしてこの場を脱するのか?様々な思惑がバナージの判断を惑わせる!そして、追い打ちをかけるようにフロンタルチームが追いついてくる。ここでミネバの決断とは?そしてバナージはどうするのか?
ここに来て、ジンネマンの裏切りも重なり窮地に立たされるバナージ。このまま最後の座標をフロンタルに知られてしまうのか?残り4話、混沌としたままいよいよクライマックス突入です。
2009/02/01 shinji
03.登場人物ほか用語一覧