■今回は連邦に隠匿されるミネバとリディの描写、、[袖付き]に奪取されたRX-0を回収するべく補給中のネェル・アーガマの面々。そしてネオ・ジオンの隠れ里「パラオ」へ連行されたバナージの長屋暮らしが描かれていて、何故か所帯じみた展開になってきています(苦笑)
尚、今回から挿絵が安彦良和氏から虎哉孝征氏に衝撃の交代となっています。安彦氏は仕事量の調整のためか(?)キャラクターデザインの部分だけになる模様。しかし交代した虎哉氏のイラストを見てもの凄い違和感が・・・途中からのイメージ変更は読者にとってかなりのダメージなんですが、編集は一体何を考えているのやら。この[ユニコーン]のページ更新もこれからどうしたものか、正直悩んでいます。今回の一件でかなりモチベーション落ちきっていますから・・・。挿絵については、もう安彦さんのデザイン設定集だけ掲載してもらえばいいから、虎哉さんの挿絵は無しにしてください。お願いします。
■ユニ・ブロ2ページ内では、パラオのイメージ図が掲載、福井氏サイン会の情報など。。また、カトキハジメによるメカ解説ページ2頁は、ネェル・アーガマに補給された搭乗機「MSN-001A1 DELTA
PLUS(デルタプラス)」について記載。
もう一つは、ユニコーンのMG化続報が2ページ。変形後のディティール写真7点、武装類3点掲載。パッケージ写真もあります。組み立て説明書には設定イラスト・MG開発原稿・福井氏とカトキハジメのインタビューなどが収録予定。2007年12月発売予定(予価5250円)です。
01.挿絵について
■安彦氏降板のため、今月からここで書くことがありません。ごめんなさい。交代した虎哉氏の挿絵が五点ほどあったように思います。
02.物語について
■なんで・・・僕じゃなかったんだ
ラプラスの箱の鍵となるRX-0「ユニコーン」を[袖付き]に奪われたアルベルトは、レーザー回線を通じてAEの女帝マーサ・ビスト・カーバインと連絡を取る。そこで知らされた事実は、バナージがカーディアスの息子だったということ。カーディアスは正当な後継者である自分ではなく、何故妾腹の子に「箱」を託したのか・・・アルベルトは愕然としつつ、あの日、引き金を引いた感触を思い出す。そんなアルベルトにマーサは追い打ちをかけるように、今回の不始末を自分で解決するよう突き放すのだった。
アルベルトを叱咤しつつ自分でも裏で根回しをするマーサ、なかなか抜け目がありません。そしてアルベルトもバナージの出自を知ることになり、自分を認めなかったカーディアスを仕留めた今、歪んだ愛憎は異母兄弟(たぶん)であるバナージに向けられてゆくんだろうな。このアルベルトといい、アンジェロといい、バナージは壊れた人を吸い寄せる傾向があるのかな(苦笑)
■私にも生まれついた”家”というものがあります
ネェル・アーガマ内で軟禁されるミネバ・ザビ。オードリーの正体を知り、彼女へのほのかな思いと、ジオン一党に仲間を殺されたという複雑な気持ちを整理するため無断で接触するリディ。ミネバを言葉で責めてみるが苦悩は深まるばかり、そんなリディに声をかけるミネバは、連邦とジオンの抗争に秘められた真実を語るのだった。それぞれに生まれついた”家”の存在を抱える二人は、奇妙な吸引力で引かれつつあった。
バナージお留守の間にセレブカップルが・・・可哀想なバナージはさておき、ここでは連邦とジオンの関係を整理。支配する連邦と、支配されるスペースノイド。連邦は彼らスペースノイドの不満のはけ口としてネオ・ジオンの存在を容認している。アウトローを分散させず、一カ所にまとめて管理しておくためのゴミ袋。連邦もジオンも互いにその役割を演じ、経済の歯車を緊張という名の動力で回してきた・・・。
カーディアスはその均衡を破る「ラプラスの箱」を使って、この歪んだ構図をあぶり出そうとしたのかも知れない、しかしそれによって起こる損耗するだけの衝突をミネバは看過することも出来ない。「義務と責任、その場にある者としての」というミネバの言葉に彼女の覚悟が伺える。
■「パラオ」だ。私たちの家だ。
一方、[袖付き]に捕まったバナージは一通りの取り調べを受け、ネオ・ジオンの本拠「パラオ」へと向かう。闇に浮かぶ巨大な衛星にバナージは圧倒される。ギルボアに説明を受けつつ、向かった居住ブロック。そこにはあのフル・フロンタル大佐が待ちかまえていた。
ここでは「パラオ」の設定解説が主で結構長い(面白いけど)。捕虜になったバナージは、マリーダ達にフルボッコされていると思っていたが、意外にも紳士的な対応で残念(?) この対応は、ミネバを護るために動いたことが評価されたためなのだが、今後のバナージの動向(協力的にするかどうか)にもよるのだろうな。
そして、フロンタルとの初対面は今回の目玉となるパート。緊張しつつも仮面を取ってくれと要求するバナージに、意外にも素直に応えるフロンタル。その素顔は、透き通った青い瞳、眉間に刻まれた古傷、白人種、微かに張り出した頬骨がやや年齢を感じさせないでもない。うーん、これではシャアではないか。しかもクローンなら眉間の傷はないだろうし、本物っぽいですね・・・。でも最終的には正体明かされないまま終わりそうな気がしますが。
このフロンタル、「今の私は自らを器と規定している」と語る。スペースノイド達の想い、ジオンの理想を継ぐ者達の想い、それらを受け止める器。疲れる生き方じゃなあ、と思いながらこの男独特の美学みたいなもんがあるんだろうな。
バナージはフロンタルと議論し、自分の自衛手段の攻撃が、相手の命を奪っていた事実に今更ながら気づき呆然としてしまう。心に凝りができてしまったバナージは再び気持ちが不安定になってゆく。一方、アンジェロはフロンタルの側に付きながらバナージへの狂気じみた憎しみを深めていくのだった。
■くそったれぇーッ!
傷ついたネェル・アーガマに補給が届きつつあった。エコーズ729隊ナシリ・ラザー中佐がダグザの隊と合流する。その補給物資の中にはデルタプラスも含まれていた。一方、リディには父親が裏で手を回した退艦命令が下っていた。民間人(タクヤやミコット)とミネバと共に引き上げることをチェレンコフ中将は指示するが・・・。
士官室ではアルベルトが「パラオ」の情報をリーク、参謀本部からの指示はネェル・アーガマ一隻でこの要塞を攻めよというものだった。ただでも疲弊した状態の一隻で何が出来るのか?表沙汰にしたくない参謀本部の意向に反抗するクルー達。そしてその状況を一番理解しているのはオットーであった。
退艦命令が下りたリディ、反発してますがどうするのでしょうかね?タクヤ達も機密に抵触したとして処分されそうだし、なんだか険呑な雰囲気になってきました。参謀本部としては今回の作戦を表沙汰にしたくないのでネェル・アーガマには沈んでもらう方がありがたい。極論、「死んでこい」という命令に怒り狂うオットー、一人エレベーター内で暴れるところが良い味出してます。そのあと、反目しあっていたはずのダグザやレイアムと、奇妙な同盟関係が芽生えてきてるのも良い感じ、これから面白くなりそうです。
■正しい戦争なんてあるもんか
居住ブロックに移ったバナージは、マリーダと共にギルボアの自宅に居候することに。しかし囚われの身であることに変りはない。フロンタルに指摘された殺人の事実、ジンネマンにも叱咤され、気持ちが揺れるバナージは食事中に子供にあたってしまう。そんな様子を見たマリーダはバナージを連れ出し、坑道奥に築かれた教会に向かう。
そこは形骸化した教会ではなく、全て手作りで築き上げられていた立派なものだった。マリーダは語る、「光が無くては人は生きてゆけない、宇宙に捨てられた人々はやがてジオンという名の新しい光にすがった」「正しいか、正しくないかは重要じゃない、彼らにはそれが必要だった。希望を信じさせてくれる何かが必要だった。それを笑うことは誰にも出来ない」と。
やっぱジンネマンはバナージを成長させるキーマンか。そしてマリーダと心を通わせつつあるバナージ、なんだかラスト付近のセリフはジーンとさせるもんがありますね。このガランシェールのクルー達とバナージは再び闘うことになるのでしょうかね。出来れば仲間になってくれると嬉しいんだけど。・・・つづく。
2007/10/28 shinji
03.登場人物ほか用語一覧