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機動戦士ガンダムユニコーン
MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN
0096/sect.1 ユニコーンの日 3

福井晴敏 (著)・安彦良和(挿絵・キャラクターデザイン)

  1. ユニコーンガイド キーワード集 [1] [2]
  2. プロローグ
  3. 0096/sect.1 ユニコーンの日 [1] [2] [3] [4] [5]
  4. 0096/sect.2 赤い彗星 [1] [2] [3]
  5. 0096/sect.3 パラオ攻略戦 [1][2][3]
  6. 0096/sect.4 ラプラスの亡霊 [1][2][3]
  7. 0096/sect.5 重力の井戸の底で [1][2][3]
  8. 0096/sect.6 黒いユニコーン [1][2][3]
  9. 0096/sect.7 宇宙と惑星と [1][2][3]
  10. 0096/FinalSect 虹の彼方に [1][2][3][4]

希望を生かすためには、血を流さねばならない時もある

今回はカラー4ページ(前回までのあらすじ1ページ分含む)+モノクロ32ページ。掲載位置は最後部で、いつもよりページ数が少なかった。ページ数に関しては、単行本化に際しての調整なのかもしれないが、月刊COMICリュウ(2007年5月号)の「柳花~ユファの大地~」も休載しているので、もしかして福井氏不調なのだろうか? まだまだ連載始まったばかりなんだから、頑張ってくださいよ。

なお、ユニ・ブロ1ページ内にて今号の作中に出てきたタペストリー「貴婦人とユニコーン」6枚を掲載、カトキハジメによるメカ解説ページが2頁付属。今回はエコーズの特殊任務用MS D-50C LOTOについて記載されている。

また、公式Webサイト(http://www.gundam-unicorn.net/)も3月26日からようやく開設する模様。プロローグもPDFだけど公開されてますし、キャラクターイラストもあります。(GAに掲載されてないイラストもありました)


01.挿絵について

今号は「前回までのあらすじ」1ページ内の登場人物紹介で、ダグザ・マックールのカラーイラストが新規に掲載。挿絵はカラー2点(扉絵1点含む)、白黒5点(1頁サイズ3点+半頁サイズ1点+キャラ単体モノ1点)が掲載。挿絵のサイズは1ページサイズが多くて嬉しかったのだが、残念ながら白黒なので嬉しさは半減。

扉絵はカーディアスの館を遠くに眺めるバナージとオードリーの後姿の図。カラーであるものの、ちょっと手抜きっぽく感じてしまう構図。扉絵は気合入れて欲しかったので別の場面を選択してもらった方がよかった気がします。

2点目のカラー挿絵はバナージとオードリー、ハロが描かれている。これは特に感慨なし。3点目は白黒1頁ものでユニコーンが納品パッケージされているのをバックに、カーディアスとガエルが向かい合う図。ユニコーンはガンダム顔じゃないし角がついているので、好き嫌いが分かれそうですが、このイラストはカッコイイと思います。

4点目は連作で作られたタペストリー「貴婦人とユニコーン」を説明するカーディアスと、バナージたち。画面のほとんどがタペストリーで占められているという状態。

※このタペストリーは15世紀末のヨーロッパで織られた6枚からなる連作で作者不詳、それぞれ人間の五感「味覚」「聴覚」「視覚」「嗅覚」「触覚」を表しているとされており、最後の一枚「Amon seul desir」(私のたった一つの望み)については未だ決まった解釈はないようだ。現在はパリ中世美術館に展示中とか。

5点目はインダストリアル7に侵入するエコーズの「D-50C ロト」2機の図。ガンキャノンのようなMS形体と、タンクモードの状態がそれぞれ描かれている。変形タイプのタンクはF91にも出ていたのを思い出したけれど、カトキの解説ページにも右端に小さく掲載されていた。

6点目の挿絵はエコーズの隊員装備の図。文面では伝わりにくいところをカバー。

7点目はネェル・アーガマを発進したリゼル&ジェガンの編隊と、(おそらく)リディ・マーセナスのアップ。なんかジェガンがジェットスキーに乗ってる雰囲気なんだけど、なかなかカッコイイね。


02.物語について

物語はマリーダの追跡をかわした直後からスタート。バナージとオードリーはあっさりとコロニービルダー(カタツムリ)内部に入り込み、既に監視カメラで状況を把握しているカーディアスにも簡単に会うことができてしまう。

前回はわりと緊張感もあって、カーディアスに会うまでにもう一悶着あるのかな?と期待していましたが、拍子抜けな展開にちょっとガッカリなところ。コロニービルダーの地下にはカーディアスの邸宅が存在していたのですが、わざわざ地球上に建てられたものをそのまま移築したというのは、なにか思い入れみたいなものが、この屋敷にはあるということなのでしょうかね?バナージの既視感も、そこのところと関係しているのかな。

しかし、RX-0(ユニコーン)を引渡すためのパッケージングって、修理部品や消耗品もセットにされているんですね。しかも返品不可はさておき、修理を受け付けないっちゅーのは、軍事関連に関しては所有者の自己メンテが基本ということなんでしょうかね。

カーディアスと出会い、タペストリーの説明を受ける二人。このタペストリーの中で解釈の決まらない1枚「私のたったひとつの望み」、このタペストリーに描かれるユニコーン、天幕、首飾りを納める箱は何を意味するのか?

 ・天幕=世俗を捨てた精神世界・第六感でしか感知しえない領域=悟りの象徴
 ・首飾りの放棄=五感によって得られる悦び・欲望を断ち切り、自らを解脱させる
 ・首飾り=我欲の象徴
 ・箱=世俗の象徴
 ・ユニコーン=信じる力によって養われるもの、希望の象徴

それぞれが、作中の「RX-0ユニコーン」「ラプラスの箱」「ニュータイプ」などのキーワードとリンクしていることを暗示しているようにも読み取れる。なんか、悟りとか解脱の話になってくると、この作品は仏教的な側面を取り入れようとしているのだろうか?

しかし、カーディアスが話した三日月の紋章はビスト家の家紋だとか、先祖はフランス国王の顧問だとか、ビスト家は財閥の体裁の為に過去を捏造しているな。おまいの先祖は羊飼いじゃん、と読みながら突っ込み入れてしまいました。

ようやく、主人公バナージとオードリーが出会い物語が動き出したと思ったら、再び二人は離れ離れに。まあ、一市民であるバナージが首を突っ込む話ではないので、周囲が危険から遠ざける配慮をするのは当然だとは思う。カーディアスがバナージの父親だとしたら、なおさらだろう。しかし、話がまた振り出しに戻ったみたいで、ジェットコースター展開を期待していた私には、物語の停滞感というか、足踏み感覚というか、凪というか、イライラがつのるわけです。

一方、オードリーがカーディアス邸に滞在している間に、ネェル・アーガマの部隊、そしてエコーズの特殊部隊はインダストリアル7に侵入工作を展開。次回はガランシェールの「袖付き」VSエコーズ部隊を見せてくれるのだろうか。ここの部分はちょっと期待。

作中には、序盤でありながら「ニュータイプ」というキーワードがよく出てくる。先のタペストリーの話で出てきた”解脱”という仏教的な世界観とからめて、この作品で書きたい部分なのでしょうか?ニュータイプの福井的解釈がどんなものか、というところも今後の見所かもしれません。

さて、次回はいよいよユニコーンの引渡しが行われそう。当然エコーズも黙っていないでしょうからマリーダ達のMS戦が読めそうです。そろそろ話数もたまってきたので、第一巻が発売されるかな?安彦氏のイラストがどう収録されるのか?とか、いろいろ期待してしまいますね。

2007/03/25 shinji

03.登場人物ほか用語一覧

キーワード集はこちら
  • D-50C ロト・・・ECOASの専用MS LOTO。全高12.2M、本体重量16.84T、センサー有効範囲:半径8800M、ジェネレーター出力980KW、スラスター総推力32400KG、装甲材質チタン合金セラミック複合材。タンク形態への変形機構を有する。作戦開始後は司令本部としての機能を有するため、各種センサー、通信設備が充実。開発は海軍戦略研究所(サナリィ)、形式番号の「50」は後に戦車型に変形する機体を表す番号として使用された。

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