■今月は58ページ(挿絵等含む)の大量掲載。今回は表紙扉絵がカプールを先頭としたMS軍団が示すように、続々とロートルMSが登場しトリントン基地は激戦になっちゃいます。物語は・・・ラー・カイラムを掌握、「箱」の鍵ユニコーンとそのパイロットであるバナージ、そしてミネバ・ザビ・・・全ての駒を手に入れたマーサは次なる座標地点である宇宙へ上がるため、オーストラリアにあるトリントン基地へと向かう。しかし、ラー・カイラムを追うかのようにトリントン基地へと向かうネオ・ジオン側の動きもあり、事態は緊迫しつつあった。
■ユニブロはお休みの模様。ネタ切れ?
■カトキハジメのメカ解説は、ザクI・スナイパータイプ、ザク・キャノン、ドワッジ、ドム・ドローペン、ガルスK及びJ、ザク・マリナー、カプル、ジムII、ネモ、ガンキャノンDTなどの紹介です。
また、緊急特報として12月発売予定の「MGシナンジュVer.Ka」について、光造形の試作機を交えて説明が二ページありました。専用シールドも付くようです。価格はまだ未定とのこと。こりゃ年末が楽しみになってきましたね!
01.物語について
■サイアム・ビストに聞け!
ブライトと対立はあるもののラー・カイラムの動きを掌握し、「箱」の鍵である「ユニコーン」、そして「ミネバ・ザビ」という強力な手札もGET。更に2号機バンシィも持ってる、と来たらほぼ最強の駒を揃えた状態のマーサ。しかし、捕虜にしたバナージが協力しないため次なる座標がハッキリしない。「箱」はおそらくサイアムの氷室にあるのではないか、とアタリはつけているものの・・・進展しない事態にマーサは苛つく。
アルベルトはそのような状態のマーサに、マリーダを気遣う発言をしてしまう。当然マーサに嫌みをチクチク刺され軽くあしらわれてしまうアルベルト。スゴスゴと部屋を後にしたアルベルトは側にいるマリーダに語りかけるが、それを現れたリディに遮られる。
ミネバに会うことを要求するリディだが、アルベルトは拒否。理屈でリディを退け、勢いづいたアルベルトはバナージの出自をリディに教えるのだった。バナージがビスト家の血筋であることを知ったリディは愕然とするが・・・。
手札を揃えたものの、肝心のバナージが協力を受け入れず事態が進展しない。不甲斐ないアルベルトにイラつくマーサだが、更に空気の読めないアルベルトの発言により、マリーダへの気持ちを見透かされ下ネタで突っ込まれる始末。マーサもセレブなご婦人にしては結構下品な言葉を平気で口にする人ですよね。まあ甥と関係しちゃっても平気な人ですから、開き直ってる部分もあるのかな。
しかし、アルベルトはマーサに簡単にやり込まれてしまう一方で、自分より立場の弱い相手と見るや陰険虐めモードに入るから(今回の場合はリディ)、お前、人としてどうなの?と思ってしまいますね。ただ、マリーダには萌え萌え状態らしく、今現在死亡フラグが立っているマリーダに一筋の希望の光がさしている気はしますが・・・さて、どうなるか。
ここのパートでは、いよいよリディがバナージの血筋を知ることになります。いつまでも語られないので意外とスルーされるエピソードなのか?と気をもんでいましたが、やっぱり物語的にビスト家とマーセナス家の百年に渡る因縁は外せないネタですよね。
サイアムが宇宙世紀元年に行ったテロ行為のことをマーセナス家は知っていたんですね。ビスト家崇主が元テロリストだという事実は、サイアムに「箱」を託した連邦政府の一握りの層が知っている程度だと思っていましたが、これは意外でした。政界では意外と知られている事実とか?でもビスト家の末裔ですら知らない機密事項なのに、普通に考えるとそれは無いだろう・・・と思うのですが、さて、このあたりの謎をどう語ってくれるのか、今後に期待したいですね。
■共通の知人が多いというわけだ
第二通信室でルオ商会の使者ベルトーチカと語るブライト。ルオ商会には今次事件に関する調査を依頼していたのだ。依頼してから僅か二日で回答が来るということは、ルオ商会もビスト家の動きを注視していたということ。
調査報告の内容は、カーディアスの死にまつわる黒い噂、当主代行に就いたマーサが「箱」の回収を目論んでいること、移民評議会がこの機に「箱」を手に入れ連邦の支配体制を盤石にしたがっていることなど・・・フロンタルの動きを含め、ブライトにも状況が見え始めてきた。
そして、ベルトーチカが独り言と称して土産話を残していく。それは、ニューギニア拠点を脱出したジオン残党が消息を絶ち、オーストラリア方面に向かったという話だった・・・。ブライトはこの話を聞いてある閃きが脳裏に浮かぶ。ブライトの秘策とは・・・?
ここでは「Z」のキャラクターである「ベルトーチカ」が挿絵付きで登場。これは意外でしたが、福井氏のファンサービスなのでしょうかね?ただ単純に福井さんが出したかっただけという気もしますが(苦笑) 以前のサイン会かトークショーかで、ベルを出すような話もあったようですから、福井さんネタバレしすぎでは?とも思いますが。
ベルトーチカとブライトが語るとなると、必然的に元恋人であるアムロの話が出るわけですが、「Z」以降「逆シャア」のストーリーが面白くなくて受け入れられない私個人にとっては、二人ともアムロを「過去の人」的に語ってるところは正直いらんだろ、と思ってしまいますね。どうもファーストの感動が手垢で汚されていくようで、これ以上「ユニコーン」のストーリーでアムロのことに触れるな、という気持ちになってしまいます。(本筋とは関係ない部分ですしね)
話が脱線しましたが、ブライトもようやく情報を得て事件の概要を把握、またベルの情報リークで新たな策を閃くところは面白かったかな。ただ、状況を利用して活路を見いだす課程で、今後多少なりとも犠牲が生じることに目をつぶるのはいかがなものでしょうかね?果たしてブライトの判断は正しかったのかどうか?物語後半を待て。
■中途半端さを武器にしているズルイ人
司令公室にてミネバに接触するマーサ。自分は味方だと語るマーサに対し、ミネバはバナージの拘束や、マリーダの調整について言及しマーサの真意を探る。マーサは「男の理論による支配」の醜悪さ、身勝手さ、男の無価値について語り、女による主導権と治世を主張、ミネバにも自分と組むように促す。
ミネバは、二人の子供がいるというマーサから母性を感じ取ることができず、妙に幼く、少女じみた理念や怨念のこもった言葉から、彼女が一部を欠落させたまま歳を重ねてしまった人物であることを直感する。ミネバがそう感じた直後から、マーサへの気後れは消失し、真っ直ぐ彼女に向き合う気持ちが固まる。
ミネバはマーサに対し、彼女が自らが語るような女ではなく、女の残酷さを男の言葉遣いで押し通している、女でも男でもない中途半端さを武器にした狡猾な人だと断じる。ミネバの言葉にキレたマーサは交渉決裂を宣言、汚い捨て台詞を残し部屋を去るのだった。
マーサVSミネバのシーン。以前から男に対して敵意を剥き出しにしているマーサでしたが、ここではミネバを取り込むために女の主張を熱弁します。が、逆にミネバに心の欠落を見透かされてしまうマーサ。しかもミネバにツッコミ入れられて取り乱してしまう場面もあり、案外アッサリと崩れてしまう弱さが露呈してしまいました。
コンプレックスは誰でも抱えているものですが、マーサは極端に偏ってしまっているので、そこを突かれると脆いのでしょうかね?小娘となめきっていたら意外な反撃をくらってしまったというところか。 ただ、ミネバのような小娘に簡単に崩されるというのはいただけません。もう少し頑張って妖怪っぷりをみせて欲しいですね。
■状況に潰されるな。絶望を退ける勇気を持て。
ミネバとマリーダをネタに協力を促されるバナージだったが、新たな座標が宇宙であることまでは教えたが、正確な座標はミネバの解放と引き替えを条件とした。以来半日、音沙汰がなくなり、士官室の片隅で思いを馳せるバナージ。そこへブライトがやってくる。
ブライトはシドニーのトリントン基地へ向かっていること、財団は宇宙へ上がることを伝えるとともに、ネオ・ジオンと行動を共にしていたバナージが、何故ダカール事件でMAと戦ったのか問いただす。バナージはMAを止めなければならないと感じたこと、「ガランシェール」の連中が強調できる相手だったと正直な気持ちを伝える。
ミネバに会うことが叶わず気落ちするバナージに対し、ブライトは励ましの言葉をかける。一人の力は微々たるものだが、そうした個人の意思の連なりが救いをもたらすときもあると。
ミネバをネタに脅され心が折れそうになるバナージ。自らの無力さを痛感するが、ブライトからの言葉を受け、諦めずに前進し続ければ、いずれチャンスが訪れると思いを新たにする。
ブライトとバナージの初対面。そろそろ次の章で宇宙に戻りそうなので、もしかしたら二人が直接会話する場面はこれが最初で最後かもしれませんね。ストーリー的には落ち込んでいたバナージが気持ちを新たにする場面なわけですが、別に無くても構わないシーンのように思います。まあ、ここらでブライトと接触させとかないと、今後出会うことがないと福井さんが判断したんでしょうけど、ちょっと無理にからませているような感じがしましたね。
■ジオンに最後の奉公をするつもりだ
ラー・カイラムを追うガランシェールはトリントンへと向かっていた。途中ニューギニアのシンブで拾い上げたカークス少佐とキャンドル中尉も同行している。事態に対応を決めかねているカークスに、ジンネマンは決断を促す。引き返すか、受け入れ先まで送るか、それとも共に連邦に一矢報いるか・・・。
作戦参加を決断したカークスはシンブ根拠地隊各員へ無線を飛ばす。様々な場所で司令の声に耳を傾ける兵士達・・・今まで雇われテロリストと蔑まれながら、何のために戦い続けてきたのか?答えは各の胸の中にある、いま何を為すか?その選択が、未来と過去を決定するのだ・・・。
自分が戦ってきた過去を否定したくない、無意味なら無意味なりに、何らかのけじめが彼らに必要なのだろう。司令の言葉を聞きつつ、各々の信条に従って戦ってきた戦士達は、続々とトリントンへと集結しつつあった。
ここではロートルMSが続々と登場してきます。このシチュエーションに喜ぶMS好きな方は多いかも。それでも戦力的には貧弱で、戦っても勝てる見込みはなさそうですけど・・・。個人的には、命を粗末にせずに新たな人生を送ればいいじゃん、と思ってしまうのですが、そうなるとストーリーが展開しませんしねえ。ここは男のロマンといところなんでしょうか。
■これも「箱」の呪いか
トリントン基地に到着したラー・カイラム。しかし警戒待機は解かれないままだ。艦から搬出されるユニコーンを眺めるリディは、バナージへ思いを馳せる。二度にわたって共闘しながらも、ビスト家の血筋の男だった事を知った今、収めようのないわだかまりがリディの中に渦巻いている。
悶々とするリディの視界に、ミネバの姿が映る。コックピットから這いだしたリディはミネバに駆け寄ろうとするが、アルベルトが間に割って入りそれを制止する。押し問答の末、押し通ろうとしたリディを、更にマリーダが力ずくで止めにはいるが、理性の飛んだリディが逆につかみかかる。その時マリーダの様子に異変が・・・「敵が、来る・・・この感覚は、マスター・・・」
百年の因縁に悶々とするリディ、バナージとの関係にも変化が訪れようとしていた。ぶっちゃけ、ご先祖様の仇の末裔ということなのですが、そういった因縁を越えて二人が再び結束することが出来るのでしょうか?それとも運命に翻弄され、ただ呑み込まれてゆくのか・・・リディにとっても運命の分かれ道であります。
一方のマリーダは、ジンネマンが近づきつつあるのを感じて、一時的に自我を回復しつつあります。アルベルトは必死に自身がマスターであると言い聞かせるのですが、この二人が今後どうなるのかも気になるところです。
■おまえは本当にネオ・ジオンの人間になっちまったのか!?
敵の気配を感じたマリーダの直感どおりに、トリントン基地に向け、MS部隊からの攻撃が始まります。応戦するトリトン基地ですが、貧弱な戦力しか残っていない僻地、想定外の奇襲に満足に戦うことも出来ず混乱に陥ります。
ラー・カイラムも攻撃を受け、応戦する機銃のためにジェスタが立ち往生する始末。更に沿岸地帯でも守備隊との交戦が始まり、狙撃隊のカークスの腕前にも翻弄される状況。そんな混乱の中、連邦軍の制服に身を包んだジンネマンが自らバナージ救出へと向かう。その頃、ブライトはこの混乱に乗じてネェル・アーガマに連絡を取ろうとするが果たして?
地上編もこの章で終わりそうなので、トリントン基地を激戦場面に持ち込んだようですね。ファーストの符号的にはジャブロー戦かオデッサ戦の場面がイメージできますが、ロートルMSも入り交じった混戦で結構興奮できますね。
ブライトの秘策はこうなる状況を利用してネェル・アーガマと接触する口実としたこと。しかし、攻撃される可能性を知りながら利用する腹黒さはいかがなものか?このことで死人も沢山出てるわけですしね。
物語はこの後もまだまだ続きます。バナージの脱出劇は果たして?、連行されるミネバを止められるのか?そしてデルタプラスで出撃したリディは?バナージの思いとリディの思いが互いにぶつかり合う悲劇・・・二人の因縁に結末は?、次号を待て!
2008/08/31 shinji
03.登場人物ほか用語一覧